バイデン氏、米国沿岸や沖合の石油・ガス開発を禁止 トランプ氏反発
バイデン米大統領は6日、米国の沿岸や沖合での新たな石油や天然ガスの開発を禁止すると発表した。化石燃料増産の方針を掲げるトランプ次期大統領の就任を目前に控え、「対抗策」をとった形だ。トランプ氏は「すぐにでも解禁する」と猛反発している。 対象地域は、米国の東西両海岸やメキシコ湾東部、アラスカ沖の一部で、計約250万平方キロに及ぶ。期限を定めず、将来的な全ての石油、天然ガス開発のための用地利用を禁止した。ただし、既存の契約に基づく開発には影響しない。 バイデン氏は声明で、対象海域での掘削について「回復不可能な損害をもたらす恐れがあり、米国のエネルギー需要を満たすには不要だ」と指摘。「リスクを冒す価値はない」と説明した。また、「米国は環境保護と経済成長の二者択一を迫られたり、海洋の健全性や海岸線の回復力、そこで生産される食糧の安全性を維持することと、エネルギー価格を低く抑えることの二者択一を迫られたりする必要はない」と主張した。 一方、20日に就任するトランプ氏は、バイデン政権が進めた気候変動対策を真っ向から否定し、就任後にそれらを撤回すると公言してきた。大統領選では、石油と天然ガスの増産を通して物価上昇(インフレ)の抑制を図ると主張し、「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って、掘って、掘りまくれ)」は主要なスローガンの一つだった。トランプ氏が就任するのを契機に、石油、天然ガス開発の動きが活発化する可能性が指摘されている。 トランプ氏は6日、保守系ラジオ司会者のインタビューで、バイデン氏の措置について「バカバカしい。すぐにでも禁止を解除する。私には即座に禁止を解除する権利がある」などと批判した。上下両院で多数派を占める共和党からも反発の声が出ている。トランプ氏は就任後、今回の決定を取り消そうとするとみられる。【ワシントン西田進一郎】