【全文書き起こし】船田元・自民党憲法改正推進本部長の記者会見
ビデオニュースからの質問:近代的立憲主義を踏まえているのか
質問者:ビデオニュースの神保です。先ほど別の記者からの質問で、自民党の憲法草案について先生は、メニューであるということでお話しされましたが、今のところ唯一出ている憲法草案であり、なおかつ自民党がその憲法改正を推進している以上、その案を中心にしてこれから議論が進むと思いますので、どうしても伺っておかなきゃいけないところが何点かあります。 1つは先ほどの、義務を新たに課すものではないとおっしゃいましたが、道徳がうたわれている、自民党の憲法草案には。道徳と法の分離という大前提、近代法の大前提があると思いますが、自民党はそれから離脱することをお考えになって、あのような道徳をうたわれているのかどうかが1点目。 もう1つは、同じくくりですけれど、憲法というのは本来は国民が統治権力に対して憲法意思という命令をするものであるというふうに解されていると思いますが、自民党草案には誰が誰に命令しているかよく分かりませんが、国民に対する命令と受け取れるような条文がいくつかある。これは誰が誰に命令しているかも含めて、船田先生ご自身はどういうふうに思っているのかをぜひお伺いしたいと思います。 それからもう1個、一番大事なところですが、基本的な人権に対して自民党の憲法草案にはいくつか条件が付けられている。特に「公共の秩序に反しない限り」というふうに基本的人権に条件が付いている。これもかなり異例なことだと思うんですが、船田議員ご自身はこれについてどのように理解されているか。その3点をお願いします。
船田:3問ありますが、その前提としては、先ほども申し上げたように、自由民主党の憲法改正草案は、これはあくまでメニューであると。そしてこの草案そのものが国会の中で原案となるというようなことはまったくないと。むしろそれはどんどんもまれて、私はあるテレビで「ずたずたになる」と申し上げたんですが、ちょっとそれは言葉が強すぎましたようですが、でも原案がもう本当にばらばらになって、そして最終的に成案ができると、こう思っております。これが1つ。 そこで第1問ですが、自民党草案では道徳という要素が多いのではないかと言うことですが、決して私たちは、先ほど言った立憲主義から外れるということは考えておりません。立憲主義は守りつつも、しかしそれぞれの国の憲法にもその国の国柄、国の性格ですね、あるいは国民としての規範、そういうものがいくつか見られます。ですからわれわれの考えている草案でもそのような国柄、国のルール、そういうものを付け加えるということは、これはやってもいいのではないかと考えています。 2つ目には、自民党の草案の中には国民に命じるというものが多いのではないかということですが、これにつきましては、私の考えとしては、そういうものについてはあまり多くないほうがいい、少ないほうがいいとは思っております。ただ国の安全、それから国民の生活の秩序、そういうものを保つために最低限、国民にお願いをする、場合によっては命ずるという項目があっても私はしかるべきだと思います。 3つ目の質問ですが、人権の行使においてわが党の草案では条件が付きすぎるのではないかという点ですが、今の憲法の中でも公共の福祉に反しない限り人権を行使することはいいよと、こう言っておりますので、私どももその線に沿って条件を付けております。その条件は、公共の福祉という言葉がちょっと曖昧でございましたので、公益、および公の秩序ということで少し概念をはっきりさせたという点は改善した点だと思います。