【全文書き起こし】船田元・自民党憲法改正推進本部長の記者会見
シンガポールのメディアからの質問:なぜ国民投票を利用するのか
質問者:シンガポール・ビジネス・タイムズ:シンガポール・ビジネス・タイムズでございます。今回のお話を聞いておりますと、国民投票を非常に重んじているという感じがいたします。学者の中には、国民投票といいますのは統治する手段といたしましては不完全なもの、完璧なものではないと主張する方がいます。なぜならば、国民投票といいますのは非常に複雑な問題を非常に簡単なものにしてしまうという、そういうような指摘があるわけでございます。しかしながら今のお話を聞いていますと、数回、複数の国民投票を行っていろいろ物事を決めたいというふうにお考えになっていらっしゃるんですが、その理由について伺いたいんでございます。逆に、学者が指摘するような、批判するような言葉を逆手に取るというんでしょうか、逆に一般の人たちが議論して、問題が分かりやすく議論できるようなものになって、そのほうが最終的にはより簡素化した、より分かりやすい政府の実現につながるとでも思っていらっしゃるんでしょうか。 船田:ありがとうございます。国民投票の制度、各国にさまざまございます。日本の場合には、国民投票は今までありませんでした。唯一ありますのが、憲法改正が是か否かということで問い掛ける義務的国民投票、つまり国民投票の結果によって憲法改正ができるかできないかが決まる、そういう意味の義務的なものであります。それで、1つ例を申し上げますと、例えば憲法改正国民投票において、1つのクエスチョンにおいて、例えば9条の改正が正しいか、マルかバツか。それと環境権を新たに導入することにマルかバツか。この2つの異なる内容を1問に合体させて国民に問い掛けると、国民はどう投票していいか分からない。迷う方が非常に増える。こういう状況を避けるためにやはり、なるべく国民投票の質問の項目、内容はシンプルにすべきであるというのがわれわれの考えです。 それからヨーロッパの各国では憲法に限らず、国の重要な課題について国民投票を行うという国がいくつかあるようでございますが、私たち日本におきましても憲法以外の国政の重要課題について、国民投票にかけるという制度、これは一般的国民投票と呼んでおりますが、それにつきましては現在、憲法審査会の中で少しずつ議論を始めております。ただ、私はかなり消極的でございます。日本の民主党あるいは維新の党などは、割合積極的に導入をしたいという考えでございますが、今後の議論に委ねたいと思います。