【全文書き起こし】船田元・自民党憲法改正推進本部長の記者会見
1回目の憲法改正のテーマとして考えられることはまず3つあると思います。1つは環境に対する権利、環境権の設定だと思います。2つ目には財政、国家財政、地方の財政も含めて、財政の健全化に関する条項であります。3つ目には、緊急事態に関する条項でございますが、これは特に自然災害が、大きな災害が発生したときなどで、国会議員の任期がもう終わるというときに発生をする。そういうときに国会議員の任期を延長する。そういうことを中心とした措置を取るべきではないかということです。これらのテーマについて、できればこれから先の憲法審査会において、各党の皆さんと一緒になって、ぜひ深掘りの議論をしていきたいと考えています。 一方、憲法9条の改正については皆さんも関心が高いと思いますけれども、私たちはこの9条の改正は、憲法改正の中心のテーマだと思っております。しかし、この9条に関しましてはその改正の中身も含めて、国民の間では世論が大きく分かれている、二分されている、そういう現状にございますので、この点は国会の内外でさらに慎重な議論を行わなければいけない。そのように思っておりますので、9条の改正については2回目以降の改正において手掛けることになると思います。 最後に2つ、指摘をしたいと思います。1つは、憲法改正の発議は国会に与えられた責務であり、内閣はその改正案を提出をする権利を持っておりません。国会が全て決めることであり、国民の代表として憲法改正の原案を作るという努力を続けたいと思います。もう1つ、それは、憲法改正というのは政治の目的ではございません。あくまで私たちの安全が保障され、より豊かな生活を維持するための手段であると、こう考えております。ご静聴ありがとうございました。
ドイツの記者からの質問:国民の義務が強調されている
フリー記者:ドイツのフリーの記者でございます。自民党の草案というのをいろいろ読んだりお話を聞いたりしているんでございますが、非常に強く感じることは、国家と人権、個人の人権の関係ということでございます。今までその憲法、そしてまた多くの国々の憲法では、国家から個人、人間、人々を守るというような概念があったかと思うんでございますが、それがなんか、その草案を見ていますと、それが抜けているというような感じがするんでございます。つまり、よく読みますと、国民の義務とかそういうようなことが非常に強調されておりまして、国家が人々のために、個人のためにというよりは、国民が国のために何かいろいろしなきゃいけないというような感じを受けるんでございますが、ここについてもっと明確なご説明をいただけますでしょうか。 船田:ご質問ありがとうございます。自民党の憲法草案、お読みいただいたようでありがとうございます。ただ、われわれの自民党草案というのはあくまでメニューでございまして、そこからわれわれとしては改正したいという部分を抜き出して、取捨選択をして野党の皆さん、他党の皆さんに紹介をする、そういうことを考えております。 今のご質問ですが、自民党の草案の中には義務が非常に強調されているということでございましたが、実際は新たな義務というものは書いてありません。ただ、強いて言えば、家族・家庭というものを大事にしましょう、というスローガンは書かせていただきました。 それと、逆に新しい人権ということで、われわれの草案には、先ほど申し上げた環境権、それから犯罪被害者の権利、あるいは国民の知る権利、そういう新しい人権を付け加えたいと考えております。そして私たちは、憲法というのはまず国家権力が人々を苦しめたり人権を侵害することのないように、国の、あるいはその権力者の力を縛り付けるもの、こういう旧来からあります近代的な立憲主義、このことはしっかり踏まえて草案には書かせていただいているということを最後に付け加えます。