「知の巨人」3氏たたえる…京都賞授賞式、「創作を通じて新たな流れ生み出した」
稲盛財団(金澤しのぶ理事長)の「第39回京都賞」の授賞式と記念講演会が、それぞれ10、11日に国立京都国際会館(京都市左京区)で行われた。講演では、通念にとらわれず、新たな境地に到達した受賞者らが、自らの歩みを振り返った。
受賞したのは、米ハーバード大名誉教授の地質学者ポール・F・ホフマン氏(83)(基礎科学部門)、インペリアル・カレッジ・ロンドン教授の理論物理学者ジョン・ペンドリー氏(81)(先端技術部門)、振付家ウィリアム・フォーサイス氏(74)(思想・芸術部門)。授賞式で稲盛財団の中西重忠会長は「3人は独創的な理論や技術の開拓、創作を通じて新たな流れを生み出し、世界に大きな影響を与えた知の巨人」とたたえた。
記念講演会には約1100人が耳を傾けた。ホフマン氏は、アフリカのナミビアなどで広大なエリアを踏破して地質を調査し、地球の「全球凍結」やプレートテクトニクスを実証した成果を説明。全球凍結が、「カンブリア爆発」と呼ばれる生物の爆発的な進化と繁栄につながったことにも触れた。
自然界に存在しない物質「メタマテリアル」の実現につながる理論を構築したペンドリー氏は、光や音、振動をメタマテリアルで制御する研究が進み、高精度のレンズや新しいレーダーなどで応用されつつある現状を紹介。「次は時間を制御できるのか考えている」と意欲を示した。
フォーサイス氏は、バレエの古典の常識を変えた革新的な発想を次々と生み出した歩みをたどり、「舞台の上で一度しか存在できないものを、普遍的なものとして表現することに挑戦し続けたい」と語った。