耳の聴こえない女性がはじめて「ラフマニノフ」を「感じた」とき…マンガ『私たちが目を澄ますとき、』が描く、聴こえない世界の”音楽”
タイトル『私たちが目を澄ますとき、』に込めた想い
タイトル『私たちが目を澄ますとき、』も、音楽に「耳を澄ます」という行為を芙美子の視点で捉えたものだと詠里さんはいう。 「ろう者は『目の人』とか『見る人』だと言われることがあります。耳で聴くのではなく、目で見て世界を認識する人だから、“目を澄ます”です。読点をつけたのは、読んでくださった方に後に続く言葉を自由に想像してほしいと思ったから。『目を澄ました時にどんな景色が見えましたか?』という問いかけの意味を込めています」 「澄む」には、「音がさえてよく響く」とい意味のほかに「光や色などに曇りがなく、はっきり見える」という意味もある。芙美子の物語は、「無意識の偏見」という曇りがなくなった時にどのような世界が広がり、音楽が聴こえてくるのか、ということも問いかけている。
BE・LOVE編集部