「追加費用を払ってでも欲しい」 ラグジュアリー の調達スペシャリストを利用する人々が増加中:Luxury Briefing
ラグジュアリー市場の状況を反映する調達ビジネス
ガブ・ウォーラーは、インスタグラムの黎明期から台頭してきたラグジュアリー調達ビジネスや小売サービスという、拡大する業態に属する一社である。利便性、スピード、ワンランク上のカスタマーサービスを売りにしている、主にソーシャルメディアをベースにしたビジネスは、Google検索でうまくいかなかった場合の代替案となることが多い。そのサービスやプロセスは、インフルエンサーの影響力の大きさや、進化する独占性の状態など、ラグジュアリー市場の状況を反映している。このビジネスの存在自体が、ラグジュアリーに対する継続的な需要と、第一次産業が顧客のいる場所で顧客に対応できていない点の両方を物語っている。 2012年に創業したエリートUSA(EliteUSA)は、100人近くのグローバル従業員を抱え、新しいスタイルを独占的に調達している。またラグジュアリー小売業者も特典として調達サービスを始めている。ファーフェッチ(Farfetch)は2022年後半、年間に最低1万2000ドル(約175万円)以上を消費する同社のプライベートクライアント(Private Client)の顧客全員にファーフェッチ・コンシェルジュ(Farfetch Concierge)を開始した。
ビジネスは主にインスタグラムのDM経由
消費力の低いZ世代がラグジュアリーカテゴリーを受け入れるようになるにつれて、調達ビジネスは中古スタイルを含む方向に焦点を拡大したり、再販に特化したビジネスを立ち上げたりしている。たとえば、ウォーラー氏のビジネスの2割は、何シーズンか前のスタイルが占めている。そして2020年、オーストラリアを拠点とする法学部の学生アラナ・クズ氏が、ルイ・ヴィトンのヴェルニポシェット(Vernis Pochette)を紹介したインスタグラムの投稿をきっかけに、ヴィンテージのハンドバッグに特化したル・リミテ(Le Limité)を立ち上げている。 クズ氏によると、2021年、スウェーデン在住のインフルエンサー、マチルダ・ジャーフ氏(インスタグラムのフォロワー数310万人)にルイ・ヴィトンのバッグ、クロワッサン(Croissant)をプレゼントしたことで、ル・リミテの「すべてが変わった」という。ジャーフ氏がそのバッグを紹介するルックをタグ付けして投稿した後、ル・リミテにはこのスタイルの注文が100件入った。 クズ氏が独占的に運営しているル・リミテは、世界的なヴィンテージキュレーターやサプライヤーを活用し、通常24時間以内にリクエストされたバッグを見つける。調達手数料は160豪ドル(約約1万5500円)で、主にZ世代の買い物客に販売している。クズ氏は売上高については明らかにしなかったが、同社の収益は「レアなヴィンテージアイテムの需要の高まりを反映している」と述べた。クズ氏は近々、初めて人材を雇用して同社の主要な顧客コミュニケーションチャネルであるインスタグラムのDMの管理をサポートしてもらう予定だ。 同様に、ガブ・ウォーラーのビジネスの9割は、13万7000人のフォロワーがいるインスタグラムのDMを通じて行われている。残りの1割はeメール経由だ。ウォーラー氏はクライアントに対して、探している商品のスクリーンショットを送るよう求めているが、最近ではTikTokからの写真を目にする機会が増えているという。2022年1月、同社はブランド認知のためにTikTokのアカウントを立ち上げ、その後、このプラットフォームに特化したコンテンツに注力するために2名を採用した。