初心者こそIPO株がおすすめできる理由 プロが教える“セカンダリ投資”のコツ
1社1分でできるIPO銘柄勉強法
具体的なツールとしてお勧めなのが、私も使っている「やさしいIPO株のはじめ方」というサイト。情報が網羅されていて使いやすいので、ぜひ活用してください。 このサイトでは、過去から直近までのIPO(予定)銘柄の企業情報が月ごとにまとめられています。 まずは、ここに挙げられている企業の情報を見ていきましょう。 どんな事業をしている会社か? 時価総額は? 公募価格と初値は? PERはどのくらいか? 株主構成は? ベンチャーキャピタルは入っているのか? などなど、わからない用語などは検索しながら、とりあえず見ていきましょう。 慣れれば1社を1分くらいでチェックできるようになります。そうなったら、実際に買わなくていいので、自分なりに「伸びそうだ」という株に注目してみるようにしましょう。選択の基準は私の考案した「銘柄スクリーニング11カ条(上図)」などを参考にしてみてください。 その後は、目をつけた銘柄の株価がどうなっていくのかを継続的にウォッチします。時には大きく値上がりして「買っておけば良かった!」と後悔することもあるかもしれませんが、こうして、後に投資を実践するときに役立つ知識と考え方を身につけていくわけです。 まずはこのように、IPO株をチェックする、慣れる、というトレーニングだけで1年くらいを費やしても、決して時間の無駄ではありません。
成長するIPO銘柄とは? 注目すべきポイントはここ
実際にIPOセカンダリ投資の対象となる銘柄をどう選択するのかを、以下では説明しましょう。基本的には前述の11カ条を検討するわけですが、ここではそのうちいくつかを例にとって見ていきます。 まず、上場後1年以内の銘柄であること。一般に、テンバガー候補と評価される銘柄は上場後5年以内とされることが多いです。「たくさんの銘柄を検討したい」「時間や労力に余裕がある」という方なら、5年以内で探すのもいいでしょう。ただ効率から考えると、まずは1年以内に絞ったほうがいいと、私は考えます。 そのうえで、上場直後の銘柄ではなく、四半期ごとの決算発表を2回か3回くらい経た銘柄であること。IPO銘柄は上場後に一気に値上がりして、すぐにガクンと下落するものも多いからです。決算発表ごとに現実が見えてきて、だんだん業績に見合った株価に落ち着いてくるもの。もちろん、業績が伸びている会社は、株価がどんどん上がってきます。 「上場から半年も待ってからでは、有望な銘柄ならとっくに目利きの投資家に買われてしまって、割安とは言えない株価になってしまっているのでは? 」と疑問を持たれるかもしれません。 でも、ご心配なく、間に合います。私自身、セカンダリ投資を始めたときは前年のIPO銘柄に遡って投資候補を絞りました。私がテンバガーを達成したアズームという会社について言えば、もっと遅いタイミングで買っています。 実はこの銘柄は、2018年の上場後数カ月の割高なときに一度買って、損失を出して手放しています。その後、2020年にコロナショックが来たときに改めて買い直して、そこから最大で17倍くらいまで値上がりしたのです。 大事なのは、焦って買うのではなく、長期的に見て業績が伸び続けるだろうと判断できること。その意味で、成長可能性の高いビジネスモデルであることは重要です。 アズームの場合、柱となっている事業は駐車場のサブリース。オーナーから余っている駐車場を安く借り入れて、自社ポータルサイトを通じてユーザーに月極で貸すというビジネスです。月極の駐車場は毎月賃料が入ってきますし、そうそう解約するものではありません。年々取り扱い駐車場が増えていくのに応じて、売上と利益が増え続けていくモデルです。 このような、「商品やサービスを売って終わり」ではなく、毎月あるいは毎年料金を払い続けてもらうストックビジネス型の企業は、右肩上がりの成長が期待でき、将来の業績も予想しやすい。銘柄選択の重要なポイントになると言えるでしょう。 また、黒字企業であることも私は重視しています。先行投資による赤字を出し続ける、という戦略も成長企業にはあり得ますが、個人の投資対象としてはリスクが大きいです。現に黒字であるか、だんだん赤字が減ってきてまさに黒字化する間際か、でなければ選択肢からは外しましょう。