富山県で38年ぶり、4年制大学の新設目指す…射水の学校法人が構想
学校法人浦山学園(富山県射水市)は10日、4年制大学「高志(こし)大学(仮称)」を2028年4月、射水市で開設する構想を発表した。県内での4年制大学の新設が決まれば38年ぶりとなる。「経済経営学部」を設け、地域に根付いた人材の育成を目指す。(上田津希乃)
人材流出防ぐ
構想はこの日、同学園が富山市内のホテルで開いた記者会見で発表した。同学園は、富山福祉短期大や富山情報ビジネス専門学校などを運営している。
県西部にある4年制の大学は現在、富山大芸術文化学部と県立大射水キャンパス、高岡法科大で、高岡法科大は4月に来年度以降の学生募集停止を発表している。新学長に就任予定の日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さん(60)によると、県西部は同じ人口規模(約40万人)の地域と比べて文系の大学数が圧倒的に少なく「異常な状態」という。
さらに昨年度、富山から石川の4年制大学へ進学した学生数は、その逆の3倍に達する。こうした学生は将来的に石川で就職することが多く、富山からの人材の流出につながっている。
新設大学は、地元の若者の受け皿となることを目指し、受験者層が多い経済経営学部(定員1学年95人)を設ける。藻谷さんは「県内企業が求めるスキルを学んでもらい、企業の存続につながる人材を一人でも多く輩出したい」と話した。
県内企業と連携
また、県内での就職者増につなげるため、県内企業100社以上と連携してインターンシップ(就業体験)や共同研究を実施し、中高生らの学びに大学生も関わる。新大学が地域をつなぐ「ハブ」となる「とやままるごとキャンパス構想」を掲げている。
文部科学省への設置認可は26年に申請し、認可が下りれば、富山福祉短大内に新校舎を建設。設置費は14億円を想定している。現在の富山福祉短大は、新大学の短期大学部に編成する。
記者会見で同学園の浦山哲郎理事長は、新大学の名称について「北陸一帯を高志の国と呼んでいたことにちなみ、高い志を持った若者が育つよう願いをこめた」と説明。「若者のやりがいや生き方の模索につながる大学にしたい」と語った。