「また明日ね」まるで手を振っているような動物園のパンダと飼育員さんの記録
ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。 【写真】パンダのタンタンと過ごした、すばらしい日々 2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。当時、国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。
お嬢様の発明
ネマガリタケ(根曲竹)のタケノコを束ねて食べるタンタンが紹介されたのは、連載75回目(https://gendai.media/articles/-/95004)。公式ツイッターにアップされた動画では、エンピツほどの太さのネマガリタケ(根曲竹)のタケノコを器用に束ねて食べています。「この食べ方は初めて見ましたね。一本ずつ食べるのが、面倒くさくなったんだろうなと思っています」と話すのは、飼育員の梅元良次さん。今年になってから、この “束ね食べ”をするようになったそうです。 一気に食べる本数は5本ぐらいだそう。ちなみに梅元さんも、極細ポッキーは束ねて食べる派だということで、タンタンの気持ちがよくわかるようです。 このころはメダケ(女竹)の葉がお気に入りでしたが、メダケのタケノコは小さい上に苦くて、食用には向かないのだとか。やっぱり、飼育員でタンタンの庭師でもある、吉田さんが育てたタケノコが一番ですね。
ジュースのおかげ
公式ツイッターには、毎朝キチンと薬を飲むタンタンの様子も。これはやはり、薬を混ぜるサトウキビジュースの力が大きいのでしょうか。「はい、かなり大きいと思います。あの甘さがタンタン好みなんでしょうね」と、梅元さん。 糖質の摂りすぎを防ぐために水と混ぜているそうで、最近の割合は、水10に対してサトウキビジュース1。それはもう、ほぼ水……。「たまにサービスで、ジュースの原液をあげると夢中で飲みますよ」と、梅元さん。多少薄くても気にせず飲むそうですが、たまには濃いジュースを飲みたいですよね、お嬢様。 ジュースはほかにも、トレーニングのご褒美や、機嫌が悪い時のご機嫌取りにも使えるそうで。ジュースの発見は、飼育員さんたちのあくなき探究心とお嬢様を思う心のたまものですね。