下水汚泥の肥料化研究、全国に発信 長野県安曇野市の南農生、農業高の甲子園出場へ
下水汚泥を肥料として普及させるための研究を5年前から続ける南安曇農業高校(長野県安曇野市)の活動発表が、本年度の日本学校農業クラブ県大会、北信越大会で最優秀賞に輝き、22~24日に岩手県で開かれる全国大会に出場することになった。汚泥は肥料高に悩む農家の救世主になる―。持続可能な社会をつくるために壁を乗り越えたい―。そんなメッセージを全国に発信したいと、生徒たちが準備に励んでいる。 活動発表や農業鑑定、家畜審査などさまざまな技能を競う同大会は「農業高校の甲子園」と言われる。予選通過したのは2部門で、チーム制の「プロジェクト(PJ)発表会」は12年ぶり、個人の「意見発表会」は2年連続で全国出場を果たした。 発表者はどちらも、研究に携わる生物工学科微生物活用コースの2、3年生だ。肥料化に立ちはだかる廃棄物処理法の壁を乗り越えるために下水処理場と協定を結んだこと、県と協働で行う稲の生育試験で汚泥肥料が化学肥料より多くの収量が得られたこと、県内流域下水道で初の肥料登録を果たしたことなど、苦労や喜びがにじむ内容になっている。 PJ発表会のチームは、スクリーンに映す資料映像とテロップの色・配置、投影のタイミングなど細部に磨きを掛ける。「自分たちで研究をしてきたからこそ気合が入った」とチーム代表の3年・立岩雅樹さん(18)は話す。仲の良さが強みだとし「汚泥を有効活用したいと思う人が増えるように、全国の皆さんに聞いてほしい」と抱負を語る。 個人の意見発表会に出る3年の髙木菜月(なつ)さん(18)は手ぶりや抑揚を付け、気持ちのこもった語り口で聞く人を引き付ける。「先輩方、先生方の努力の成果でもあり、研究内容は素晴らしいと思う。多くの人に知ってもらいたい」と発表の練習を重ねている。
市民タイムス