「キーウ市内でマツダ車見かけた」ウクライナからの投稿に急展開「なぜ弊社の30年前の営業車が…」理由は
ミサイルとミサイルの間の〝日常〟
「マツダ車」の投稿が生んだ心あたたまるやりとりに、ふと現実を忘れそうになりますが、キーウ市では戦禍が続いています。 オンラインインタビューをしたのは現地時間7月31日午前9時前。この前夜の11時も、キーウ市内では「空襲警報」が街のスピーカーとスマートホンのアプリで鳴り響きました。平野さんも爆発音を聞いたそうです。 ロシアから40機以上の自爆型無人機がキーウをめがけて飛んできて、それをウクライナ軍が撃墜したと、報道されました。 朝6時に警報は解除され、インタビュー後、平野さんは休日の外出をする予定でした。 「ミサイルが常に飛んでくるわけではなく、ミサイルとミサイルの間に、市民は〝日常〟を送っています」 日本では〝前線〟とミサイルの被害が大きく注目されますが、平野さんは、そこで抜け落ちてしまいがちな「合間にある日常生活」も知って欲しいと、キーウから発信するようにしています。 今回、たくさんの人の目にとまった「マツダ車を見かけた」という投稿もその一環でした。 情報が偏ると「戦争のイメージがゆがんでしまい、正しい判断ができなくなる」と危惧しています。 キーウの空爆被害の報道を見て、キーウ全体が焦土になっていると勘違いする人もいて、たとえば、ご飯を食べる市民の日常の投稿に「(空爆情報は)ニセ情報だった、だまされているんだ」などと、あらぬ誤解が拡散されることもあります。 でも、爆発音が響く時もあれば、その合間にカフェでコーヒーを飲み、友人と語らう時もある。楽しいことをしていても、頭の中ではどこかでいつ自分が爆撃を受けるか分からない恐怖や、前線で戦う友人のことを考えている。それが「戦争と日常が同時に存在する」ということだと言います。 ミサイルが撃たれる直前まで、普通の生活を送っている人たちがいること。「細かく伝えないと、細かくは理解できない。極端な誇張ではなく、矮小化でもない『ありのままの戦争』を、これからも伝えていきたいです」
「ウクライナの人たちに食べさせたい」
今回の投稿でウクライナの〝日常〟に触れ、「何かできないか」と考えた人たちに、平野さんは「ウクライナのことを知ってほしい」と期待します。 ウクライナ料理を食べに行くことや、SNSで思いを馳せることもその一環になります。「関心を維持することが大切だと感じています」 ひょんなことから、つながったウクライナと日本の〝縁〟。インタビューの最後に平野さんは「大市珍味さんは、ウクライナ支店を開く予定はないんですかね」と笑いました。 「ネットで見たらあまりにおいしそうだったので。いつか、ウクライナの人たちに、あんな本格的な日本料理を食べさせたいな、と思いまして」