ヒロイン役なのに「小道具のメンテナンス」まで対応した…話題の『侍タイムスリッパ―』沙倉ゆうのさんが語る「役者」兼「スタッフ」の苦労
話題のインディーズ映画『侍タイムスリッパー』の勢いが止まらない。 2024年夏にインディーズ映画として1館のみの上映で公開開始した本作は、口コミで評判が広がり全国340館以上されている。2025年も上映続行。「新語・流行語大賞」にノミネートされるなど年が明けてもその勢いは止まらない。2025年1月4日(土)・5日(日)には本作の舞台となった「聖地・映画村」にて本作の主要キャストが出演するイベントを実施する。 【写真】『侍タイムスリッパ―』でヒロイン役を好演した沙倉ゆうのさん 『侍タイムスリッパー』ではヒロインを好演し、さらに助監督や小道具なども兼任していたという沙倉ゆうのさんにご自身のことについて語っていただいた。
キャストであり制作スタッフ
沙倉さんの活動はグラビアから始まった。あるときイベントのオープニングムービーに出演することになり、その監督が『侍タイムスリッパー』の安田さんだった。当初はOLという設定だったが、沙倉さんのトゥシューズを履いている写真を見た監督は設定をバレリーナに変更。沙倉さんに当て書きで制作することとなった。この出会いがきっかけで、その後2人はタッグを組んで映画制作に没頭することとなる。 ――もちろん最初から素晴らしいものにするおつもりで制作されていたと思うのですが、とはいえ、撮っている最中から今のような反響を予想していらっしゃいましたか? どこかで「これは大作になるぞ!」という手応えを感じながらでしたか? 沙倉手応えはありました。今作は未来映画社の三作目なんですけど、二作目の『ごはん』を撮っている段階から、監督と三作目の話をしていました。当初は『寅さん』みたいなのを想定していたんですけど、『侍タイムスリッパー』の脚本が面白かった。監督も「これ以上に面白い脚本を書ける気がしない」というんで、じゃあ『侍タイムスリッパー』で勝負するしかないねって。 ――エンドロールに安田監督と沙倉さんの名前が何度も何度も出てきました。ほとんど2人で作っているのではと思うほど、至るところにお名前が重複して出てくる(笑)。特に沙倉さんはキャストで、しかもヒロインだというのに…制作スタッフとして何役も担当されていますね。 沙倉安田監督はいわゆるメジャー映画の現場でやってきた方ではないですし、私もインディーズメインでした。だから監督に「助監督をお願い」って言われたはいいけど、「助監督って何するんですか?」って(笑)。そしたら監督は「監督を助けるんちゃうの?」って(笑)。そのぐらいの感じで始まったんで、実際のメジャー現場で「助監督」がどんな仕事をしているのかはいまだに分からないです。 でも結果的に、私は助監督をやっていたみたいです。少ない人数で作っているので、みんなそれぞれいろんなことを兼任したり手伝ってくれるんです。私には照明や音声みたいな技術がないから、キャストさんへの連絡や、小道具を揃えたり、飲み物を冷やして朝持ってくるとか。やれることをやっていたらあんなエンドロールになりました(笑)。 予算の都合でプロの小道具スタッフを迎え入れることができなかった。そのため沙倉さんは東映の小道具スタッフから刀の竹光の交換方法やメンテナンスの仕方を教えてもらい、撮影現場で自ら対応していた。 ――沙倉さんはヒロインですから出番も台詞も多いなか、役者と制作スタッフの両立は大変だったのでは? 沙倉前日にならないと、お弁当が何人分必要か分からないんです。だから毎日スタッフやキャスト、事務所に確認をしていました。でも自分の出番もあるし小道具や他のこともある。そしたら動き回っているうちにお弁当の発注を忘れちゃったことがあります。流石に「これは無理だ」と思って、お弁当の手配については翌月から他の方にお願いできることになりました。