晴れて大家さんデビューするも…「塩対応の不動産管理会社」に募る怒り。なぜこんなことが起こるのか?【不動産専門弁護士が解説】
賃貸物件を購入して「大家さんデビュー」する人が増えています。大半の大家さんは、物件の管理を「管理会社」委託しますが、トラブルが起こるたび、管理会社の対応に不満を募らせている方もいるようです。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。不動産と相続を専門に取り扱う、山村法律事務所の代表弁護士、山村暢彦氏が解説します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)>
デビューしたての大家さんが、しばしば勘違いしていること
収益物件を購入した方は「大家さん」デビューすることになります。 大家さんは、入居者の方の家賃の支払い確認はもちろん「共有部の電球が切れた」「給湯器の様子がおかしい」といった要望にも、逐次対応しなければなりません。しかし、それらの連絡をひとつひとつ自身で処理するのは、かなり手間がかかります。そのため「賃貸管理会社」に、毎月の賃料の確認や修理対応などを依頼することが多いのです。 今回は「賃貸管理会社の役割」と初心者大家さんが気をつけるべき「管理会社との付き合い方」について、法的見地から見ていきたいと思います。
「管理委託契約」によって委託される4つの業務
賃貸管理会社に管理を依頼するためは「管理委託契約」を締結します。国交省の「賃貸住宅標準管理委託契約書」※をもとに解説していきましょう。 ※ 国土交通省「賃貸住宅標準管理委託契約書」( https://www.mlit.go.jp/common/001228954.pdf ) 契約によって委託される業務は、主に、(1)契約管理業務、(2)清掃業務、(3)設備管理業務、(4)特約業務の4つに分類されています。文字にすると少し難しく感じるかもしれませんが、それぞれ内容を見ていきましょう。 (1)契約管理 大家さんが自分の口座で賃料の振込を管理すると「今月は101号室の家賃、ちゃんと入ってるかな…」などとヤキモキすることが増えてしまいます。そういった毎月の賃料の振り込み依頼や振込管理を委託するのが「契約管理業務」です。 また、多くの賃貸契約は2年越しで更新しますが、その際に「入居から2年経過するので、更新料を支払ってください」と伝えて更新手続を行うなどの業務も、これに含まれます。 (2)清掃業務 共有部の清掃はもちろんですが、ゴミ捨ての管理も行います。日頃からきちんと管理をしておかないと、入居者によるゴミ捨てのルール違反も増えてきます。多くの場合は、それらも含めた管理が「清掃業務」となります。 (3)設備管理業務 設備が壊れた際に対応する業務です。「廊下の電球が切れた」「鍵が壊れた」「水が出ない」「お湯が出ない」といった設備に関するトラブルの管理が含まれます。 (4)特約業務 (1)~(3)以外の内容とは別途合意した非典型的な業務となります。国交省のひな形でも個別の特記事項記載欄のように設けられております。
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