外資による買収か非上場化か!? 地方高齢者が危惧する「社会インフラ」=コンビニの行方
外資企業からの巨額買収提案、それに対する「拒否」、株価の急変動など、ここのところ話題に事欠かないコンビニの王・セブンイレブン。その親会社セブン&アイ・ホールディングスが11月13日、創業家主導の自社買収(MBO)による非上場化も検討していると発表し、再びメディアを騒がせた。MBOは創業家側から提案を受けたもので、外資企業からの買収提案額を大幅に上回る9兆円規模となる見通しだ。 【写真】生活を支えるコンビニのサービス * * * ■買収提案に創業家がNO 2024年8月19日、セブン&アイ・ホールディングスがカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているという一部報道を受け、セブン&アイも同日に「事実」と認めた。 しかし9月6日、セブン&アイがこの買収提案について、セブン&アイの企業価値を「著しく過小評価している」とする書簡をクシュタールに送付し、買収提案を「拒否」したことを発表。クシュタールも引き下がらず、さらに2兆円を上乗せした総額7兆円に上る新たな買収提案を行った。 買収劇はその後しばらく膠着状態に見えたが、11月13日、セブン&アイは経営陣によるMBOを検討していることを発表した。創業家でセブン&アイの伊藤順朗副社長と、その資産管理会社で8%のセブン&アイ株を保有する伊藤興業からの提案だ。 複数の報道によれば、これら創業家に加え伊藤忠商事などが出資するほか、3メガバンクも融資し、総額9兆円規模で株式を非公開化する案が浮上しているといい、「クシュタールに対抗する実質的な買収防衛策です」(経済部記者)とのことだ。 ただし、今回のMBOについては懸念もある。再び経済部記者の話。 「今回"ホワイトナイト"として名前が挙がった伊藤忠は、業界2位のファミマの親会社です。もし伊藤忠がセブン&アイの親会社になれば、業界の1位と2位が一緒になるような状況になるわけで、独禁法上の問題が生じる可能性があります」(経済部記者) 11月21日にはクシュタールの創業者ブシャール会長が複数の日本メディアの取材に応じ、「敵対的な買収は計画にない」と述べた。だが、依然として買収には意欲を見せており、セブン&アイのMBOの実現なども含めて今後の先行きは不透明だ。 ファミリーマートは2020年、ローソンは今年7月に大手商社の資本で非上場化したばかり。仮にセブン&アイの非上場化が現実となれば、コンビニ御三家すべてが株式市場から姿を消すことになる。 ■過疎地の「ライフライン」が崩壊?