【大学トレンド】日本文学科は「就職に直結しない」? 「夢はお笑い芸人と芥川賞作家」、学生が語る学ぶ目的
自分の言葉で創作を
創作するジャンルは、小説だけではなく俳句、短歌、現代詩、絵本、映像など多岐にわたり、そこに魅力を感じて入学する学生が多いようです。大学院文学研究科修士課程1年の森貞茜(もりさだ・あかね)さんもその一人。テレビ番組「プレバト!!」で俳句の人気を高めた夏井いつきなど多くの俳人を輩出した愛媛県の出身です。 「愛媛県は多くの高校に俳句部があります。私も俳句部で地域の吟行会(外に出かけて俳句をつくる会)に参加したり、俳句甲子園に出場したりしてきました。高校は進学校で勉強についていくのが大変で、大学はどうしようかと思っていたときに『私には俳句がある』と気づいて、俳句を学べる大学を調べました」 同研究科修士課程1年の保理江悠人(ほりえ・はると)さんも、小説の実作ができる大学が志望でした。 「高校生のころから、小説の創作に興味がありました。僕も高校生のときには、受験勉強がまったく楽しめませんでした。でも武蔵野大学に入ってから短歌や俳句の面白さにも気づいて、大学の学びはこんなに自由な世界なんだと思いました。高校生のときは創作について語るのが恥ずかしかったのですが、大学では自然に話せて、自分が解放されたような感覚でした」 日本文学文化学科では、1年次に文学作品や作家、古典芸能から書道など幅広い教養を身につけ、2年次からは深く追究したい研究や創作のジャンルを選択していきます。 2年次に選択した創作の授業の中で、保理江さんが特に印象に残っているのが、歌人の林あまりさんが講師を務めている短歌を創作する授業でした。 「短歌は自分の内面を表現することが一般的なので、個別指導が基本で、林先生と面談する時間もありました。一対一で素直に自分の考えていることを話せたのもうれしかったですし、『いい作品を書いているから賞に応募したほうがいい』と言ってもらえました。いま思えばお世辞のようなものだったかもしれませんが、積極的に創作をして賞に応募するきっかけになりました」 森貞さんは、創作の授業で俳句をより好きになれました。 「高校生のときは詠んだ句を添削してもらう受動的な教わり方でしたし、作品に対する鑑賞も見よう見まねでした。でも大学の授業では、その作品のどんなところがいいのかを説明するための論理的な学修と、自分の言葉での創作を、相互還元的に行います。さらに鑑賞や創作に対しても、納得できる形でフィードバックしてもらえるので、俳句をより自分のものとしてつかめるようになりました」