失業率は上昇しても、雇用は驚異的な改善に
総務省の「労働力調査」によると、2月の失業率は2.5%と1月から0.1%ポイント上昇しました。一見すると労働市場の改善が一服したようにみえますが、後述のとおり内容は非常に強く、表面上の失業率上昇は労働市場の悪化を示していません。
2月は失業者数が9万人増加しましたが、これは1. 非自発的な離職(会社都合、契約満了など)が2万人減少する一方、2. 自発的な離職(転職等のための自己都合退職など)が5万人増加し、3. 新たに求職を開始した人が6万人増加したことによるものでした。このうち2. と3. は景気が良いときに増える傾向があることに注意が必要です。2. は労働者が待遇改善を求めて活発な転職活動を行うことが背景にあり、3. は今まで職探しを諦めていた人が労働市場に参入したことを映し出していると考えられます(このほかに配偶者控除の変更など制度面も一部影響している可能性がある)。したがって、2月の失業者数増加は決して悪い結果ではありません。 2月の労働力調査で最も目を引いたのは、就業者が前月から51万人増加と驚異的な伸びを示したことです。51万人の増加がどの程度のインパクトなのかは就業者数のグラフをみれば一目瞭然ですが、日本人にとっても馴染み深い米雇用統計に換算すると前月比+120万人に相当する強さとなります(人口規模で日米の雇用統計を調整)。就業者数は1月も米雇用統計換算で前月比+100万人弱の増加でしたから、足元の2カ月は異常な強さです。米雇用統計は+20万人増加すれば「好調」、+30万人なら「極めて好調」といった具合ですから、1月の+100万人弱に継ぐ2月の+120万人は「超異常」な数値です。毎月勤労統計という別の指標はここまで強い結果でなかったことから、労働力調査は何らかの統計の歪みによって強さが誇張されている可能性が高いですが、それでも労働市場が改善していることに変わりはありません。