「気持ち」で買うクルマ フォルクスワーゲンID.バズ 長期テスト(最終) 今後のEVへ必要な個性と特徴
今後のバッテリーEVへ求められる個性や特徴
それでも、ID.バズのステアリングホイールを1度握れば、笑顔にならずにいられなかった。いくつかの弱点を忘れさせるほど、自分を幸せな気持ちにしてくれた。 フォルクスワーゲンは、愛されるブランドに戻ろうと努めているそうだ。具体的なことは明らかになっていないが、ID.バズは、今のところ同社のバッテリーEVで最もそれを体現できていると思う。 筆者は1972年式のフォルクスワーゲン・ビートル、タイプIを所有していたが、今年になって諸事情で手放した。オレンジ色のビートルを、自分は愛していたのだと実感している。今後のバッテリーEVへ求められる、個性や特徴をしっかり宿していた。 ID.3やID.4は、頭で理解して買うフォルクスワーゲンだろう。だがID.バズは、気持ちで買うフォルクスワーゲンだと思う。とはいえ、市場に存在する多くのモデルとの間で、最終的には悩むことになる可能性は高い。 英国価格はお手頃といえず、この価格帯ならより航続距離の長いバッテリーEVが選べる。急速充電能力が高い例も、3列シートを選べる例もある。 しかしSUVである必要がなく、5シーターで充分で、1度に300km以上走ることが殆どない人にとって、そんな合理性を忘れさせる魅力がID.バズにはある。今回は実現しなかったが、ステレオのボリュームを上げて、いつか真夏の野外フェスを目指してみたい。
セカンドオピニオン
担当者だったペイジは、ヒッピーなイメージに浸っているようだが、スタイリングは好き嫌いがわかれそうだ。自分には、モアイ像の頭に見えてしまう。タッチセンサーやタッチモニターも、正直扱いにくい。 電費も褒められない。多くのバッテリーEVが、6.0km/kWh程度は走れる時代だ。ロードトリップをするとしても、航続距離が短すぎる。英国価格もお高い。代わりにBMW M340d ツーリングを買っても、かなりのお釣りが出るほど。 クリス・カルマー(Kris Culmer)