「退職金の運用は銀行に相談してはいけない。なぜかというと…」ファイナンシャルプランナーが<退職金特別プラン>の落とし穴を解説
◆銀行に相談はダメ 退職金などまとまったお金をそのままにしておくのは「もったいない」と思ってしまいがちです。少しでも利率のいいものに預けたい。できれば運用をして増やせたらいいな。これは当然の心理です。 とはいえ、それまで運用の経験がないときは、誰かに相談したくなるでしょう。そこへ銀行から電話がかかってくるのです。証券会社は敷居が高い人でも、銀行は身近な存在ですから、つい相談に出かけてしまいます。これがもっとも危険なパターンです。 銀行に行くと支店長などが出てきて、窓口ではなく奥にある個室へ通されます。特別待遇のようで、ちょっといい気分になります。 そこで勧められるのが、「退職金特別プラン」や「外貨建て保険」「変額保険」「投資信託」「ラップ口座」などです。 結論から言うと、どれも手数料が高く、ダメな商品ばかり。やめたほうが賢明です。
◆「退職金特別プラン」とは たとえば、「退職金特別プラン」は、定期預金と投資信託がセットになった商品です。 定期預金の金利は7%です。通常の定期金利が0.025%程度であることを考えると、非常に高い金利です。 しかし、小さい字で「3ヵ月」と書かれています。ここを見落としてはいけません、7%は3ヵ月間だけで、その後は一般的な定期預金と同じ0.025%の金利になるのです。 投資信託のほうは、購入手数料が2%で、信託報酬は2%です(これは一例で、商品により異なります)。 定期預金で7%の金利がつくプランは、投資信託と定期預金を半分ずつで購入することになっています。 このプランで、定期預金500万円、投資信託500万円を購入したとします。 定期預金は年7%の利息ですから、500万円×年7%×3/12ヵ月=8万7500円です。約9万円の利息がつくならいいように思えます。 一方、投資信託は購入手数料がかかります。500万円×手数料2%=10万円です。 定期預金の利息8万7500円-投資信託の手数料10万円=マイナス1万2500円 つまり、「退職金特別プラン」は、最初からマイナスのスタートになるわけです。その後の預金はほとんど増えない状態です。
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