働きやすい工夫が詰まった“次世代オフィス”!社員がやる気になる大改革の舞台裏
「離れられない」椅子がヒット~オフィス3.0とは?
〇オフィス革命2~人の動きにフィットする家具 イトーキの技術の粋を集めた椅子「アクトチェア」(13万1100円)は累計16万脚を売ったヒット商品。「腰の部分がフィットするのでサポート力が高く、離れられない」と言う。 この椅子を作っている滋賀・近江八幡市の関西工場では、特殊なカメラで、センサーをつけた社員を撮影。これをCG化して人の動きをデータに落とし込み分析している。 「肩を叩かれて振り向くとか、人の動きに合わせた椅子を作りたいです」(開発設計統括部・河本誠太郎) 人がどう動くかを突きつめて作った「アクトチェア」は、背もたれは一本の柱で支える構造だから、座りながら上半身を捻ることもできる。 「何か声をかけられたら振り向けるし、物も取りやすい」(河本) 肘当てはワンプッシュで上下左右と自由自在、好きな位置で止められる。さらに小柄な人に優しい機能もある。サイドのレバーで座面の長さを調節し、腿裏の圧迫を解消できるようにした。いずれも日本初のこれまでなかった機能だ。 「開拓精神を持って新しい技術、素材、機能にチャレンジするという意気込みでやっています」(河本)
耐久性にもこだわっている。椅子の背もたれを捻る動きの左右5万回の耐久実験は国の基準の5倍以上。壊れ方まで記録している。 「いくつも試験体をスクラップにしてきました。椅子は徹底的に追い込んで壊れるまで見ないと、カタログには載せられない」(品質保証統括部・十時康) イトーキではこうした厳しい耐久実験を150種類以上にわたって実施している。 この日、千葉市の関東工場で懇親会に参加していたイトーキ社長・湊宏司(54)は外資系IT企業「オラクル」出身。イトーキの歴史の中では初めて外部から社長になった。就任からわずか2年で利益を5倍に増やした躍進の立役者でもある。 社員たちは「社長といえども従業員と同じ目線で話しかけてくれるので接しやすい」「今までの社長の中で一番フランク。みんなのやる気が上がる」と言う。