日本郵便「クロネコゆうパケットの全国展開は実施が困難に」。ヤマト運輸を提訴、120億円の損害賠償請求
日本郵便は12月23日、ヤマト運輸に対して損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した。損害賠償の請求額は120億円。 2023年に締結した「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」の実施項目の1つである小型薄物荷物の新サービス「クロネコゆうパケット」の運送委託について、ヤマト運輸から一方的な停止を通知され、合意に基づく義務の存在自体を争う状況になっため訴訟を提起したという。 「クロネコゆうパケット」の日本郵便への配送委託について、訴訟を通じてヤマト運輸が履行義務を負うことの確認を求める。また、履行されない場合の損害賠償を請求するとしている。 日本郵便によると、ヤマト運輸から「クロネコゆうパケット」に関し、一方的な事情で2025年1月から当面の間、運送委託停止を内容とする計画変更の申し入れがあったという。ヤマト運輸は12月18日、「ネコポス」から「クロネコゆうパケット」への切り替えに伴う配達委託スケジュールの見直しを申し入れたと公表している。 ヤマト運輸は「クロネコゆうパケット」への切り替えを順次進めているものの、配達委託を進めるなかで、従前よりも消費者へ荷物を届ける日数が伸びてしまう事態が発生していると説明。この状況を解決するため、協業の主旨および基本合意書に基づき、切り替えに関する配達委託スケジュールの見直しの申し入れを実施し、真摯に協議を重ねているとした。 一方の日本郵便は2025年2月から全地域での「クロネコゆうパケット」展開をめざして最大限の準備を進めてきたと反論。ヤマト運輸のシステム対応やクライアント対応の遅れなどにより、「ネコポス」から「クロネコゆうパケット」への移行が当初計画を大幅に下回る状況が続いていたとしている。 日本郵便はヤマト運輸の対応について、「一方的に当社への委託の停止を進めるべく、既に当社への運送委託の停止に向けたアナウンスや準備作業を進めているものと承知している」と説明。2025年に予定していた日本郵便の配送網を活用した「クロネコゆうパケット」の全国展開は、実施が困難になる見込みとしている。 ヤマトグループと日本郵政グループの協業がスタートしたのは2023年。ヤマト運輸は「クロネコDM便」を終了、日本郵便の配送網を活用した新サービス「クロネコゆうメール」を2024年2月に全国で発売した。取扱個数約4億個(2023年度実績)で小さな荷物を宅急便レベルの翌日配達で届け先ポストに投函する「ネコポス」については、輸送・配達業務を日本郵便に委託することで合意していた。