34歳、ゲレンデを買う──間違いだらけのGクラス選びとは(Vol.2)
ガソリンとディーゼルで悩む
というわけで、消去法で残った90年登場のW463型で決まった。ただし、W463型は90年から2018年まで約18年間も製造されたロングライフモデルだ。早速、中古車情報のWebサイトをチェック。調べると90年代のモデルは、在庫が15台ほどしかなかった。しかも、多くがカスタマイズされてしまいオリジナリティに欠ける。どうせなら自分らしい1台に仕上げたいので、気持ちが動かない。 00年代前半のモデルだと5.0リッターV8エンジン搭載のG500が大部分を占める。後期モデルと比べ、シンプルなフロントまわりが好印象。スッキリとして個人的には好ましい。フルノーマルの中古車もチラホラあったが、燃費の悪さがネック。都心部だとリッターあたり5.0km前後になるそうだし、使用油種がハイオクだから燃料代が嵩むことは間違い無い。日常の足に、これだとキツい。 それならばディーゼルモデルがベストだ。13年に導入されたG350ブルーテックは、3.0リッターV型6気筒BlueTECエンジンを搭載する。公式の燃費は発表されていないものの、リッターあたり8.5~10kmは走るそうだ。しかも使用油種は、安価な軽油である。 加えて、ブレーキのホールド機能とアダプティブクルーズコントロールが搭載されているのは重要なポイント。衝突被害軽減ブレーキこそ搭載されていないが、個人的にはあまり必要とは思わない。なぜなら年間3~4万km走行する中で、衝突被害軽減ブレーキに助けられた経験が1度もないからだ。逆にブレーキのホールド機能とアダプティブクルーズコントロールには、大いに助けられており、運転時の疲労が大幅に軽減されている。欲を言えば操舵支援機能もあるとパーフェクトだが、10年以上前のクルマにそれを望んでも仕方ない。 ちなみに、Gクラスのパーキングブレーキは電動ではなく手引き式の手動だ。ブレーキのホールド機能は、電動パーキングブレーキを併用しないと難しいのでは? と、思い、調べると、メルセデスの場合、フットブレーキを物理的に“ツマむ”ことで停止状態を保持するそうだ。それゆえ、ブレーキペダルをかなり奥深くまで踏み込まないと作動しない。これはGクラスに限らず全モデル同様で、確かに現行モデルも奥深くまでブレーキを踏み込む必要がある。 話は逸れたが、個人的に欲しい装備を搭載するG350ブルーテックは理想の1台。欲を言えば、パワーが向上し、かつ名称が「G350d」に変更された16年以降がイイ。とりわけ、Apple CarPlayにも対応した17年モデルがベスト。パーキングアシストリアビューカメラの作動時、ガイドラインが表示されるのも便利だ。 購入モデルが決まったタイミングで、偶然、エスアンドカンパニーの代表を務める鹿田能規さんと再会した。以前、記事化した「2桁ナンバー物語 Vol.9 品川33のメルセデス・ベンツ500SL」の取材時に出会った鹿田さんは、車両販売から整備、板金・塗装、カスタム、ラッピングなどを手掛けている。鹿田さんは俳優の勝地涼さんとも親しく、勝地さんに出演いただいた「愛車の履歴書」の取材をきっかけに再会したのだ。 鹿田さんは今、W463A型のGクラスを所有しており、ポロっと「自分もGクラスの購入を考えているんですよね……」と、話したところ、「それはエエと思う! 間違いない選択だから、買いましょう。僕のショップで面倒見ますわ」と、あれよあれよという間に購入が決まった。 というわけで、次週はGクラス選びの理想と現実について綴る。
文と編集・稲垣邦康(GQ)