「お餅」がのどに詰まったら、“掃除機”での吸出しはNG…年始に多発“餅の事故”の予防法と応急処置
餅をのどに詰まらせても「掃除機」はNG…正しい応急処置は?
では、万が一餅をのどに詰まらせてしまった場合、正しい応急処置はどのようなものだろうか。東京消防庁救急指導課の担当者によれば、まず、気道の異物による窒息が起きているかを確認すべきだという。 「『のどに詰まったのか?』と尋ね、気道異物による窒息であるかを確認してください。 声が出せずうなずく場合は、気道異物除去の対象となります。 また、異物除去には咳が一番効果的です。咳ができるなら、できる限り咳をさせます。咳ができない場合は気道異物除去の対象となります」 気道異物除去の対象と判断したら、まずは助けを呼んで119番通報し、AEDを搬送してもらいます。助けが来ない場合は、119番通報とAEDの搬送はせずに、直ちに異物除去を始めます」 具体的な方法・手順については、担当者によれば「文字で説明するより、イラストや動画などで説明した方が分かりやすい」とのこと。以下、東京消防庁のYouTube公式チャンネルのURLを合わせて紹介する。 成人・小児の場合は、まず傷病者の背中を強く叩き気道異物を取る「背部叩打法」(※1)を試みる。背部叩打で効果がなければ、傷病者の後ろに回り、上腹部を斜め上方に圧迫して気道異物を取る「腹部突き上げ法」(※2)を試みて、異物が取れるか反応がなくなるまで続ける。 ※1:「窒息に対する応急手当(成人・小児:背部叩打法)」(東京消防庁公式チャンネル) https://www.youtube.com/watch?v=6k3HKuKOwMk ※2:「窒息に対する応急手当(成人:腹部突き上げ法)」(同上) https://www.youtube.com/watch?v=lsrO0H4sfm0 乳児の場合は「背部叩打法(※3)」と、胸骨を圧迫して気道異物を取る「胸部突き上げ法(※4)」を交互に、異物が取れるか反応がなくなるまで行う。 ※3:「窒息に対する応急手当(乳児:背部叩打法)」(東京消防庁公式チャンネル) https://www.youtube.com/watch?v=yJ2yh55ErPA ※4:「窒息に対する応急手当(乳児:胸部突き上げ法)」(同上) https://www.youtube.com/watch?v=4eX7lVjxGkM 反応がなくなった場合は、心停止の時と同じやり方で心肺蘇生を行う。 「助けを呼んで誰も来なかった場合は、まず119番通報し、AEDが近くにある場合は使用します。 そして、床に仰向けに寝かし胸骨圧迫を30回、人工呼吸2回を繰り返し実施してください(人工呼吸で空気が入らない場合も2回まで実施し胸骨圧迫に移る)」 口に異物が見えたら取り除く。見えない場合は、心肺蘇生を中断しないために、口に指を入れて探ってはならない(※5)。。 ※5:「人工呼吸の実施方法」(東京消防庁公式チャンネル) https://www.youtube.com/watch?v=xaNi0c8eiXY なお、餅をのどに詰まらせた場合の処置とされるものの中には、その適否が不明なものもある。たとえば、伊丹十三監督の映画「タンポポ」(1985年)では、汁粉の餅をのどに詰まらせた高齢男性の口に掃除機を突っ込み、吸い出す描写がみられる。あのような方法は適切なのか。 「掃除機を口の中に入れることで、口腔内を傷つけ、また感染のリスクがあることから、東京消防庁では推奨していません」(東京消防庁救急指導課 担当者) 餅をのどに詰まらせた場合、決して自己判断での応急処置をせず、まずは気道異物による窒息かどうかを確認する。もしそうであれば、応急処置の方法をすみやかに東京消防庁のHP(※6)やYouTube公式チャンネル等で確認し、その通りの応急処置を行うことが、正しい対応方法だといえる。 ※6:「餅などによる窒息事故に注意!」(東京消防庁HP) https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/nichijo/mochi.html