20代で“最低限の仕事”しかしない部下。いわゆる「静かな退職」でしょうか? 同じように中高年で働かない社員もいますが、能力があり「出世」も見込めるのに、もったいないと感じてしまいます
「静かな退職」とはキャリアアップや昇進を目指さず、必要最低限の業務だけ淡々とこなす働き方のことです。元々はアメリカで広まった考えですが、Z世代の若者を中心に日本でも広まっているようです。 「静かな退職」で働いている人は、会議で発言しない、職場で孤立している、同僚や上司と最低限の会話しかしない、社内イベントに参加しないなどの兆候があります。 本記事では、「静かな退職」を選択した若者と中高年の働かない社員の違いや、日本で静かな退職が広まっている理由、同僚や会社に与える影響について考察します。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの?
静かな退職と中高齢の働かない社員はどう違う?
「静かな退職」を選択している人は、実際に会社を退職しているわけではありませんが、会社への帰属意識をほとんど持たず、心理的には会社を去った人のような状態にあります。これは最低限しか働かない中高年社員と、どう違うのでしょうか? 「静かな退職」を選択した人は自らの意思で(能動的に)そうなることを決めています。一方、後者はこれまでの会社・人生経験から結果的に(受動的に)そうなった人が多く、若いときから最低限しか働かなかったという人は少ないのではないでしょうか。 それでは、能力もあり、出世も見込める若者たちになぜ「静かな退職」が広まっているのでしょうか?
静かな退職が日本の若者に増えている理由
日本の若者に「静かな退職」が増えている原因として、次のような背景が考えられます。 ・ワークライフバランスの重視 ・働き方改革 ・終身雇用の崩壊 昨今の就活生の就職観としては、楽しく働くことや、ワークライフバランスを意識して仕事よりもプライベート(個人・趣味)を重視する傾向があります。近年の働き方改革で労働時間が減少し、プライベートの時間がより増えたことも要因だと考えられます。 また、終身雇用が崩壊しつつある現代では、若者の転職意識が高くなっています。そのため1つの会社で長期的なキャリアプランを考えている人は少なく、結果的に会社への帰属意識が低下しています。 日本では年功序列型の賃金カーブの会社が多く、一生懸命働いても、働かなくても給料は同じという賃金構造も若者が最低限の仕事しかしない「静かな退職」に繋がっていると考えられます。