【高校バレー】春高のニューヒロインを探せ!奈良文化高校・藤井唯玖未が挑む最後の春高
「春の高校バレー」第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会は今日1月5日、東京体育館で開幕する。近畿2府4県の代表校の中から、2年連続春高全国出場を決めた、奈良代表・奈良文化高校を取材した。
◾️山川真史監督が築いた強豪校の地位
「今年のチームは夏から秋にかけて、レギュラー選手がケガでなかなか練習ができず。思うような結果が残せなかったが、ここに来て、ようやくディフェンスが底上げできている。」と手応えを感じているのは、就任11年目の山川真史監督(35)。 第71回大会(2019年)の春高初出場から、ここ7年間で今回が6度目の出場。第73回大会(2021年)、第74回大会(2022年)に2年連続で春高全国ベスト16入りを果たすなど、今や、近畿を代表する強豪の一角に名を連ねるようになった奈良文化。 今年のチームの大黒柱、1年生の時からレギュラーとして活躍し、現在、キャプテンを務めるエースの藤井唯玖未(3年・O H)も、そんな強い奈良文化に憧れて、入学した選手の一人だ。奈良県出身の藤井は、中学は大阪の強豪・城南学園に進んだ。しかし、高校進学時、地元・奈良から春高に出たいという思いと共に、自分自身をバレー選手としても、人間としても成長できるチームと期待して、奈良文化を選んだという。実は、選手たちに奈良文化の魅力を聞くと、口を揃えるかのように、この「人間としての成長」という言葉が出てきる。同じく中心選手の一人、西村虹玖(3年・M B)は、石川県出身で、中学卒業時、地元・石川のバレー強豪校からも誘いがあったが、バレーは中学で辞めるつもりだったという。しかし、その年、たまたまインターハイが石川で行われたことで、石川県を訪れていた山川監督の目に止まり、声をかけてもらったことがきっかけで奈良文化の練習に参加した西村は、「チームの雰囲気が良くて、バレーが楽しいと思った。ここならば、バレーを続けたい。」と、気持ちが変わったという。
◾️絶対的エース・藤井唯玖未が見据える「最後の春高」
しかし、今年の3年生が入学後の春高は、2年前は奈良県予選決勝でフルセットの末、奈良女子に敗れ準優勝。昨年は全国大会に出場するも、1回戦で富士見(静岡)に敗退。なかなか思うような結果が残せていない。さらに、去年夏のインターハイは、予選グループで2連敗し、決勝トーナメント出場を逃した。 奈良では圧倒的な力で勝てても、全国では勝てない。キャプテンの藤井は「夏はコートに入っている選手が、絶対に決めるという気持ちが甘く、気持ちの弱さがプレーに出てしまっていた。」と振り返る。藤井自身、7月の近畿大会の前に足首を捻挫し、武器とする跳躍力を生かしきれない中での戦いでもあったが、それでも心の弱さを課題として、夏以降は強い奈良文化の復活を目指して取り組んできた。