細字ブームの中あえて太字シャープペンを出したのはなぜ? トンボ鉛筆の新作「モノワーク」の開発秘話
トンボ鉛筆の「モノワーク」は、「マークシートテストで、速く濃くマークできる」という特徴を持つ芯径1.3mmの太字シャープペンシルです。トンボ鉛筆が行った200問塗りつぶし実験では、0.5mm芯に比べて、1.3mm芯では約1.33倍速くマークすることができたそうです。 【画像】モノワークのカラー展開 一方で、太い芯は折れにくく、鉛筆に近い書き味で、書いた文字も見やすいなど、アイデア出しやちょっとしたスケッチ、メモなどにも便利です。しかも今回トンボ鉛筆では、シャープペンシル本体だけでなく、芯も新しく開発して、「速く濃く書ける」を実現しています。 「弊社は、マークシート用鉛筆を昔から販売していて、2017年には、文字などが印刷されていない消しゴムを“試験用の消しゴム”として発売するなど、試験を意識した文具を作っています。 これが、好調だということもあって、試験用文具を拡張していこうという流れの中で、実際にマークシート試験には、どういうものがあるんだろうと調べていました。 そこで分かったのが、日本でのマークシート試験ではTOEICの受験者数がダントツで多いということでした。次いで英検という感じでした。そして、多くのマークシート試験で、シャープペンシルの使用を許可しているんです。 実際にアンケートを取ったところ、鉛筆よりシャープペンシルのほうがマークシート試験での使用率が高かったんです。そこで開発を始めたのが、『モノワーク』の始まりです」と、「モノワーク」の開発を担当した株式会社トンボ鉛筆プロダクトプランニング部の渡邊弘樹さん。
◆鉛筆、消しゴムに続く試験用文具としてのシャープペンシルを
トンボ鉛筆のマークシート用鉛筆や、モノ消しゴムのカラーリングだけを残して文字を完全になくした消しゴムは、試験用文具として、かなり広く使われている印象があります。それだけでなく、文字がない消しゴムや鉛筆はデザインとしてもシンプルでカッコいいのです。 「全ての試験を確認したわけではないのですが、実際は、試験で使う筆記具に文字が印刷されているとダメという決まりがある試験はそれほど多くないと思っています。 とはいえ、実際に試験を受けられる方は、万が一でも疑われたら困るという心理が働くようです。より安心して試験に臨めるように文字なし仕様を用意して、それが非常に評判が良いということで、今回もそれを踏襲しています」(渡邊さん) おそらくメーカーとしては、メーカー名や製品名を製品の中に入れたいという考えはあると思うのです。ただ、生活の中で使う道具として、文字などがないスッキリしたデザインは、とても魅力的です。 「試験用」とすることで、ユーザー側にもうれしいデザインが実現しているというあたりが、試験用文具が大人にも好まれる要因かもしれません。 「モノワーク」では、トンボのマークと芯径である1.3という数字だけが軸に印刷されています(限定品を除く)。クリップもないので、よりスッキリしたシルエットです。 面白いのは、パッケージ台紙の裏に「シャープペン本体には商品名や品番が印刷されていないため、この台紙を大切に保管してください」と書いてあることです。軸の印刷をなくすのにはさまざまな配慮が必要なのですね。