絶対おかしい! 授業準備、テストの採点に「残業代が出ない」のはなぜ? 教員の“時間外労働”謎ルール
◆まずは業務削減が急務、教員のコスト意識も鍵
現在、教員の人手不足の解消に向けた処遇改善として、「教職調整額」を段階的に引き上げる案が出されていますが、筆者は手当を上げるよりもまず、仕事を減らすことが急務だと感じます。 近年、ブラック労働への社会的信頼の失墜などがあり、多くの民間企業が対策を講じています。勤務時間をきちんと管理し、残業代を支給することが基本となっており、残業が多い場合には、仕事を減らす措置を実施しています。 教育現場においても、まずは仕組み化が必要です。残業として認められない業務については、組織的に削減すべきです。同様に、教員に対しても、残業として認められない業務を見直して負担を軽減する必要があります。 そもそも残業として認められる業務、認められない業務の線引きについて、教員自身どれだけ把握しているのでしょうか。おそらくあまり知られていないのではと思います。そもそも時間単位で残業代が出ないため、教員のコスト・効率意識の欠如につながっているのではないでしょうか。 「教育調整額という形でまるっと支給するので、個人で業務時間を調節して仕事をしてね」という形だと、結局は個人に委ねられてしまいます。教員のほとんどは生徒のためを思って業務を抱え込み、すべてやろうとしてしまうため、長時間労働は解決しません。 筆者が実施しているコーチング塾には多くの教員が入塾していますが、子どもや授業は好きだが、教員としての働き方に疑問を感じるといった声をよく聞きます。筆者自身、公立学校の現場で12年教員をしていて、残業が月に200時間を超える働き方も経験し、学校現場を一教員の立場として変えるのは難しいと実感しました。 現在は教育革命家として、外から働きかけることで学校教育を変える取り組みをしていますが、学校現場の仕組み化、現場に即した根本的な教員の処遇改善がなされることを心から願っております。 <参考> 教職員給与の在り方に関するワーキンググループ配付資料 > 教員の職務について(文部科学省) 教員「残業代」巡り調整難航…財務省「働き方改革したら最大10%」、文科省「来年度から13%」(読売新聞)
▼坂田 聖一郎プロフィール
教員を13年間経験した後、独立し「株式会社ドラゴン教育革命」を設立。「学校教育にコーチングとやさしさを」コンセプトに、子どもたちがイキイキと学べる教育を実現できる世の中を学校の外から作りたいという想いで活動する教育革命家。
坂田 聖一郎(子育て・教育ガイド)