そろそろ“フルモデルチェンジ”!? 17年モノ「ミニバン」に10年モノ「セダン」も!? ロングライフな「国産車」それぞれが愛される理由とは
GT-R
日産GT-Rは、2007年に登場しました。 BNR34型「スカイラインGT-R」販売中の2001年から「GT-Rコンセプト」の名称でショーなどに展示されたり、カーレースゲーム内にコンセプトモデルが登場したりしていましたので、もっと前からあるように感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。 「GT-R」は、スカイラインの車体に専用ハイパワーエンジンを搭載したグレードから、新たに日産車を代表するハイパワーモデルとして展開する専用モデルへと進化しました。 そのため、主要な部品も専用品を使用することができ、より高性能を目指すことが出来るようになったのです。 エンジンはV型6気筒3800ccツインターボ、トランスミッションはエンジンと切り離して後方に配置する、6速ダイレクトクラッチ式オートマチックトランスミッションを採用しています。 GT-Rが専用モデル化されたことによって乗用車としての性格は薄らぎ、残念さを感じるファンもいたようですが、それによって高い走行性能を得たのです。 GT-Rは、エンジン出力480ps、販売価格も777万円と当時としては驚愕の高性能で登場しましたが、この種のスポーツモデルは年々改良を行い、常に高性能を維持していかなければライバル車に抜かれてしまうものです。 また、当初はトランスミッションの変速などに少々難があったり、スポーツ走行後の補償やメンテナンス、カスタマイズの点で色々と問題がありましたが、数年後にはそれらの点は解消されています。 年々熟成を図ることで、登場当初と基本構造は同一ながら、熟成されたモデルへと成長していきました。 しかし、性能向上に合わせて価格も上昇していきます。毎年変更を行うモデルイヤー制を採用していましたので、ほぼ毎年性能向上と価格アップが行われていったのです。 そして、世界的にスポーツモデルでも電動化の傾向がみられるようになった2024年3月、マイナーチェンジと同時にとうとうファイナルエディションを名乗るモデルが登場しました。 このモデルは、エンジン各部の精度の向上による性能向上や新しい内装色の設定などにより、価格は驚愕の最高3000万円超となりました。 単純計算で、登場時のモデルの約4倍の価格です。しかしこのモデルは、純粋なエンジン駆動のスポーツカーとしては最後になるかもしれません。 “GT-R 17年間の総決算“となるこのファイナルエディションは、高性能を発揮したモデルとして歴史に名を遺すことが約束されています。 3000万円超の価格ですが、もしかしたら後世には「バーゲンプライスだった」と言われるかもしれません。 ※ ※ ※ 昭和時代には、「登場したばかりの新車はトラブルがあるから買うな。フルモデルチェンジ直前のクルマが完成度が高く買い得」などという考え方もありました。 これは現在ではあまり聞かなくなった話ですが、それでもモデル登場から1-2年ほど経過すると各種のトラブルやネガティブな要素が解消され、クルマとしての完成度が高まることはあるようです。 また、マイナーチェンジやフルモデルチェンジを行うことで、旧モデルのユーザーに古臭さを感じさせて買い替えを促すビジネスモデルは2000年頃から徐々に衰退し、変更のための変更という内容も少なくなっています。 これらのことから、自動車メーカー側も安易な化粧直し程度のマイナーチェンジはやめて、力の入ったフルモデルチェンジを実施するようになったのかもしれません。 つまりロングライフなモデルだからと言って、次のモデルを待つことはあまり意味をなさなくなっているようです。 欲しいと感じたときが買い時だと思って、安心して購入できる時代になっているのかもしれません。
吉越伏男