そろそろ“フルモデルチェンジ”!? 17年モノ「ミニバン」に10年モノ「セダン」も!? ロングライフな「国産車」それぞれが愛される理由とは
エルグランド
3代目となる現行の「エルグランド」は、2010年に登場しました。 エルグランドの初代モデルは1997年に登場し、当時大ヒットしました。威圧感あるフロントマスクと大排気量V型6気筒3300ccエンジンが特徴の商用バンを持たない大型ミニバンで、当時としては斬新なモデルでした。 それまでの、商用車に乗用車的な内装を装備したワンボックス車ワゴンの走りが悪いイメージを一新、新しいジャンルを切り開いたモデルだったのです。 同じ頃、トヨタも「グランビア」や「ハイエースレジアス」などといった大型ミニバンモデルを新発売しましたが、やや地味なフロントマスクや動力性能で劣ったことが理由なのか、エルグランドの独走を許しました。 さらにエルグランドは、モデル後半となる2000年にエンジンを新型のV型6気筒3500ccエンジンに換装、2002年には2代目にフルモデルチェンジし、威圧感と上質さを両立させたスタイルを得て独走が止まりません。 一方、トヨタはグランビア系列を2002年に初代「アルファード」として仕切り直しをします。 車体を前輪駆動ベースとしたモデルに変更するとともに、安価な4気筒エンジン車も用意しました。 この後、ガソリン価格の上昇とともに3500ccエンジン車しかないエルグランドは、徐々に不利になっていきます。 2004年にはV型6気筒2500ccエンジン車を追加しますが、燃費がさほど良くなく、アルファードの勢いを止められません。 2010年に登場した現行モデルで、セダンのティアナをベースとした前輪駆動を基本とするモデルに変更、車体構造の上では「アルファード/ヴェルファイア」と同等になりました。 この際に、床面高さを下げて乗降性を向上させるとともに全高も下げ、カーブで横揺れが少ないことを前面に打ち出しています。 しかし、全高が低いスタイルは堂々とした雰囲気を薄めてしまい、押し出し感が強いヴェルファイアを前にすると弱々しく見えてしまったのかもしれません。状況を覆すには至りませんでした。 その後のエルグランドは、2012年にアラウンドビューモニタと連動したペダル踏み間違い防止アシスト機能を追加、2016年にはエマージェンシーブレーキを、2018年にはさらに車線逸脱防止やハイビームアシストも追加するなど地道な改良を重ねたものの、アルファード/ヴェルファイアとは相当の差が出来てしまったのが実情です。 日産社内からも、プロパイロット2.0や改良されたe-powerシステムを搭載したセレナの価格帯がエルグランドに近づき、ますます難しい立場に置かれています。 しかし、エルグランド自然消滅がうわさされていた中、2023年のジャパンモビリティショーで日産は大型ミニバンのコンセプトカーを展示しています。 日産社内では、新型エルグランドの準備が進められているのかもしれません。日産ファンのミニバンユーザーにとっては、期待が膨らむことでしょう。