「ピアノを弾くことが恐怖に…」 高級スーツ企業を率いる女性社長、若き日の挫折とは
◆振り返ってみてわかった、ピアノと経営の類似点
――ひたすら自分と向き合うピアノの世界から、ビジネスの世界に入り、戸惑いはありませんでしたか? 意外とありませんでした。 というのも、ビジネスは私一人で立ち向かうのではなく、周りにいるスキルの高い人々に助けられながらチームで動きますから。 周囲の人たちから話を聞いて、意思決定をしています。 ピアノは練習も含め、一人の時間が非常に多い。 私はむしろ人といっしょに仕事をすることに向いていたのだと思います。 ただ、先ほどの「会社は生き物」という話はピアノにも当てはまります。 同じ曲を弾くにしても、演奏するホールの大きさによって弾き方は変わります。 大きいホールでは打鍵を強めに弾かなければいけないのに対し、サロンコンサートなど小さい会場では調整をしないと耳にうるさく感じてしまうこともあります。 いろいろな状況に応じたベストのパフォーマンスをどうやったらできるかを考えなければいけない。 そういう点は、会社の経営と似ていると思います。 留学時代を振り返ると、人前でのピアノ演奏以上に怖い経験は無かったので、仕事で人前でのプレゼンテーションや講演などには、全く動じないようになりました。
■プロフィール
株式会社銀座テーラーグループ 代表取締役社長 小倉 祥子 氏 1978年、東京都生まれ。青山学院女子短期大学家政学科を卒業。幼い頃から音楽に親しみ、1999年英国王立音楽大学にピアノ留学。一度帰国したのち、マーケティングを学ぶためにアメリカの大学に2年半留学、2007年に帰国。2008年、家業である銀座テーラーに入社。社長室室長、専務取締役などを経て、2019年に代表取締役に就任。