【1分解説】2025年に忘れちゃいけない、「お金」関する7つのキーワード。iDeCo拡充、103万円の壁……
少子化対策に関連したワード
次に少子化対策関連のワードを見ていこう。政府は現在、少子化対策も重点課題としている。これは子育て世帯向けの減税策という面もあれば、社会保障を厚くするための増税策と見ることもできる。この点で理解しておきたいワードは2つだ。 4.「子育て世帯の住宅ローン減税」 住宅ローン減税は、認定住宅等の新築等に関して2024年から借入限度額が縮小されたが、子育てに関しては従来通りの優遇措置が継続となっている。この点、令和7年度税制改正大綱で1年延長され、2025年も適用されることとなった。 具体的には、借入限度額4000万~5000万円、最長13年間、毎年末の残高の0.7%分を所得税や住民税から差し引く。加えて、手すりや対面キッチンの設置工事等の住宅リフォームを対象に、工事額250万円を上限に所得税から最大25万円を差し引くという措置もある。 5.「健康保険料値上げ」 2026年度から健康保険料の段階的な引き上げ実施される。これは、岸田前首相が掲げていた少子化対策の強化に関連して決定されたものだ。 2024年10月から児童手当が拡充され、今後は育児休業給付が拡充される等、子育て世帯にとっては恩恵のある政策ではある。一方、その財源確保のために、費用の一部を公的医療保険を通じての徴収も開始されるため、政府でどんな議論が行われるか、2025年度は意識を置いておきたい。
退職金に関連したワード
最後に「退職金」に関連したワードだ。数年前に年金2000万円問題で話題になったとおり、老後生活資金を公的年金だけで賄うのは一般的に難しい。そのため、現在では老後のための資産形成に、自助努力が求められている。 この観点から、より資産形成を促進するため、2025年から一部改正が実施されることになった。一方で、退職金に過度な税制優遇がある点への批判から退職金課税強化の動きもある。これらに関して2点を紹介する。 6.「iDeCo拡充」 2025年からiDeCoの掛け金が拡充され、働き方によって7000円から数万円まで毎月の掛金額増加が決まった。これで老後生活資金をより確保しやすくなると同時に、掛金額には所得控除機能もあるため、現役時代は節税の恩恵をより受けやすくなったともいえる。ちなみに、これは岸田前総理大臣が掲げていた「資産運用立国プラン」に関連したものだ。 iDeCoは引き続き、また新NISAについても、利便性向上の観点から今後も改正が実施される予定だ。この点も見逃せない。 7.「退職所得課税の見直し」 現在、政府では退職金への課税強化への是非や内容に関しても議論が進められており、令和7年度税制改正大綱においても今後議論する旨が明記されている。 現状の退職金に関しては、勤続年数が20年以内だと1年あたり40万円分まで、勤続20年を超えると1年あたり70万円まで、税金がかからなくなる。つまり、同じ勤め先で長く働くほど、税金が軽くなる仕組みとなっているのだ。 しかし、iDeCoの一時金受け取りに関する控除と、上記の退職金の受け取りに関する控除、両方を利用する場合、5年の期間を空ける必要があった。これを「5年ルール」と呼ぶのだが、同大綱では、「10年ルール」に見直されることが決まった。これが一部の間で、改悪だと批判する声がすでに出ている。 このような退職金への課税ルール変更に関してもアンテナを張っておくといいだろう。これは、たとえ退職金が給付されない企業の社員であっても、いつ火の粉が及ぶかわからないので、気にしておいた方が良いトピックだ。
まとめ
税金や社会保障に関しては昨年、今年、来年以降と、さまざまな改正が目白押しとなっている。その内容は、人によって有利なものもあれば、そうとはいえないものもあるはずだ。新年を期にライフプランやマネープランを再検討する際は、これらの情報もチェックした上で検討して欲しい。 なお、ここに記載しているのは、税制や社会保障制度に関する「一般論」だ。個人の具体的な金額を確認したい場合は、勤務先および税理士や社会保険労務士に確認をして欲しい。
佐藤 彰