秋の古都は「徒歩並み」のノロノロ渋滞 京都市はマイカーの観光駐車場利用を禁止、効果は
観光シーズンが本格化する中、訪日客の増加などに伴いオーバーツーリズム(観光公害)対策が課題となっている。有数の観光地である京都市では世界遺産・清水寺(同市東山区)周辺の渋滞対策として、市営観光駐車場での自家用車などの利用を禁止し、観光バスのみの事前予約制に切り替えた。ただ急速に回復する観光需要に対応するには、さらなる対策が必要な上、都市部に集中する観光客を地方に分散することも求められる。 【比較してみる】日本人と外国人の旅行消費額の推移 ■50分のタイムロス 10月下旬、清水寺近くの市清水坂観光駐車場(54台収容)の入り口にこんなメッセージが掲げられていた。「バス完全予約制」。事情を知らず駐車場に入ろうとし、引き返す車もあった。 例年、紅葉シーズンになると駐車場に向かう五条坂などでは慢性的な渋滞が発生。駐車場を探してウロウロする車もその要因の一つとされる。 国土交通省近畿地方整備局が昨年11月、大量の情報を送受信できる次世代交通システム「ETC2・0」を搭載する車両を対象に清水寺付近での走行データを調査したところ、一部では平均時速が徒歩とほぼ変わらない「5キロ以下」だった。駐車場を探してさまようことで最大50分のタイムロスが起きていたことも明らかになった。 ■対策後は3分短縮 清水坂観光駐車場を巡り、市は昨年、期間限定で料金を2割値上げしたが、混雑緩和に目立った効果はなかった。次の一手として今年10月10日から約2カ月間、観光バスだけの事前予約制に切り替え、自家用車やタクシーの利用を禁止した。 取り組み開始から約1カ月。市によると、駐車場に着くまでの時間は対策前と比べ、上りで平均約3分短縮された。市の担当者は「地元では『以前に比べて渋滞はましになった』との声がある」と手応えを明かす。 だが混雑は駐車場周辺に限らない。対策後も五条坂では日中、外国人観光客らを乗せたタクシーや乗用車による渋滞が目立つ。関係者は「タクシーなどの台数規制も必要ではないか」と抜本的対策の必要性を指摘する。 ■火災などへの懸念も