障害のない社会を目指して、海外でも一歩 山口文洋・LITALICO社長
── 障害のある人や福祉事業所に向けたインターネットプラットフォーム事業も展開しています。 山口 発達が気になる子どもの保護者や支援者向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」では、お子さんの発達に関するさまざまな不安の解消に向け、信頼性の高い情報を提供しています。また、自分のニーズに合った福祉事業所を検索できるサービスも展開しています。 一方、業界は小規模事業所が多く人手も不足しているため、業務のIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいない面もあります。BtoB(企業間取引)のビジネスとしては、複雑な補助金の請求など障害福祉に特化した「かんたん請求ソフト」などを事業所向けに提供しており、約2.5万事業所に利用いただいています。当社のようにBtoCの事業を展開しつつ、エンジニアやウェブのマーケティング担当など400人規模を有してインターネット事業を展開しているのは業界の中では唯一無二と自負しています。 ── 社長就任から1年半が経過しました。経営陣の体制は? 山口 社長の私と前社長の長谷川敦弥会長、医療ITベンチャー「エムスリー」で取締役を務めた辻高宏副社長による「3代表制」で経営を担っています。私自身はリクルート出身でインターネット事業などを手がけ、オンライン学習サービス「受験サプリ」(現スタディサプリ)を新規事業として設立しました。3人が三位一体となってそれぞれのスキルを発揮しており、企業としての戦略、オプションの幅が広がりました。 ── リクルートからなぜリタリコへ? 山口 スタディサプリの開発に当たっては、教育の機会を安価に提供し、教育格差を解消したいとの思いが根底にありました。生きづらく、働きづらいと感じる人をどう支援するのかが、私の情熱の源泉にあります。そんな中、2016年に長谷川社長(当時)と出会ったことが転機になりました。意見を交わす中で困っている人を支援したいとの気持ちが一層強くなり、リタリコへ飛び移りました。