障害のない社会を目指して、海外でも一歩 山口文洋・LITALICO社長
── 「障害のない社会をつくる」を企業理念に掲げています。障害者を取り巻く社会問題について、どのように取り組みますか? 山口 「障害」は人にあるのではなく、法律やルール、仕組み、制度など社会の側にあると考えています。私たちは障害がある方を直接的に支援しながら、今より生きやすく、働きやすく、学びやすいと思えるような環境、仕組み、制度、法律へ変えていくことをミッションとして掲げています。社名は「利他」と「利己」を組み合わせて「リタリコ」としました。関わる人を幸せにすることが自分の幸せにつながる──という意味を込めました。 ── 具体的な事業は? 山口 障害がある方の学びや、就職、生活、老後まで、子どもからシニアまでを一気通貫して支援する店舗型のBtoC(一般消費者向け)サービスを展開しています。 例えば、0~18歳の子どもと保護者に向けて、発達支援の最適な学びを提供する「LITALICOジュニア」(162施設)や、成人向けの就労支援サービスとして「LITALICOワークス」(143施設)を運営しています。プログラミングやロボットなどを使い、ITとものづくりを体験できる「LITALICOワンダー」なども展開しています。「ジュニア」では、1対1で子どもたちを支援する「パーソナルコース」も設けています。 ◇業界の底上げ尽力 ── 障害福祉業界全体でのシェアは? 山口 障害福祉施設は全国約18万事業所あるのに対し、私たちが運営している事業所はさまざまなサービスを合わせれば計約500施設あり、これでも業界最大手です。コンビニエンスストアは全国5万店舗あり、大手3社がほぼ分け合っていることを考えれば、障害福祉業界は小規模事業者が多数存在するフラグメンテッド(バラバラな)市場です。こうした状況の中、自分たちだけがビジネスを広げていくという姿勢ではなく、業界最大手として障害福祉業界の底上げに努めていく方針です。