学校の図書館で「まんが」はあり?連載中の人気作品も 子どもが読みたい作品を置いて利用増やして
地域の学びのためにも漫画は活用できる
では、実際にどのようなまんががおすすめなのか。 高橋氏によると、少し前までは『はたらく細胞』、『ゴールデンカムイ』、『鬼滅の刃』などが人気があったという。最近では、地動説をテーマにした『チ。』、オカルティック怪奇バトル『ダンダダン』、千年以上生きる魔法使いのエルフがさまざまな人と出会い成長する『葬送のフリーレン』、世界の命運を賭けて偽装家族が極秘任務に挑む『SPY×FAMILY』、怪獣発生率が世界屈指となった日本を舞台にした『怪獣8号』、日本がWカップに優勝するためのストライカーを養成する『ブルーロック』などだ。 アメリカでは全米図書館協会が、10代向けに推薦する優れたグラフィックノベル(Great Graphic Novels for Teens)を毎年発表していて、そこには日本のまんがも多く含まれている。 例えば、同性婚を扱った『弟の夫』が2018・2019年、江戸時代を舞台にした『大奥』が2010年、車いすバスケの世界を描いた『リアル』が2009年にトップ10に入っている。LGBTQやジェンダー問題、ダイバーシティを扱ったまんがが高く評価される傾向にあるが、まんがという文化を悪いものだと捉えず、どれが子どもにとって有益か真摯に取り組んでいる印象があるという。毎年、少ない時でも1作品、多い時で3作品ほど日本のまんがが選ばれている。 日本でも今後、学習の中にもっとまんがを取り入れてもよいのではと高橋氏は話す。 「最近は、探究的な学習で、自分たちの暮らす地域について知る学びが推奨されています。まんがの中には地域に根ざした物語もあり、現地の風景が作中で描かれて聖地になるようなことも。そのようなまんがは自分の住んでいる場所を知るのにも有効なので、各地域でぜひ取り入れてほしいです。 また、読書のバリアフリーという観点でも、まんがは重要です。学校では外国にルーツを持つ子が増えていますが、まんがというのは日本語がそこまで得意ではない海外の子どもにとっても、手に取りやすいものです。ふりがなもついているし、絵があるから想像力でカバーできるところもある。言葉を覚えることにもつながるので、誰しもが手に取れる環境になればいいと思います」 (文・酒井明子、注記のない写真:chompoo09 / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部