自民県連、千葉県知事選で熊谷俊人氏を「支持」へ メンツより実利を優先
自民党千葉県議団は27日の緊急議員総会で、来年3月の知事選への再選出馬を表明した現職の熊谷俊人知事(46)を県連として支持する方針で意見集約した。年明けに知事側と政策協定を結ぶ見通しだ。県議の一部には自主投票を求める声もくすぶったが、県議会最大会派としてメンツを保つよりも政策実現を通じた実利を優先させた格好だ。 ■知事から一本の電話 「県民や職域団体への知事の影響力は大きい。県民ファーストを考えれば党として政策課題を進めてもらうには(熊谷氏が)適任者だ」 仕事納めの27日、阿部紘一県連幹事長(県議)は総会後の記者会見で、「県連支持」に決めた理由をこう語った。 党内対立による事実上の分裂選挙で臨んだ末、推薦候補が熊谷氏に大敗した前回の令和3年知事選から一転。「県連支持」の形で熊谷氏との協調路線にかじを切った。 阿部氏らによると、熊谷氏が再選出馬を表明した16日、熊谷氏から阿部氏に一本の電話があった。「どうぞよろしくお願いします」。知事選の支援要請だった。電話が切れると阿部氏は、武田正光県連政務調査会長(県議)に政策協定文書の作成を指示した。 もともと「知事側から要請がなければ、支援なんてできない」。党内にはこんな声が根強く、熊谷氏の電話は「県連支持」の方針を出すための環境整備の意味合いがあった。 ■まとまるのが自民党 阿部氏と宇野裕県議会議員会長は数日後、支援のあり方を巡り熊谷氏と話し合い、県連支持でまとまった。 残るは緊急議員総会での意見集約だった。阿部氏は周到に準備を進めた。27日の総会は20分程度で終わり、「1、2人は反対する人がいたが、ほとんどは賛成だ。理解を得られた」。 一部の議員から「県連支持に到底、承服できない。あくまでも自主投票をお願いしたい」といった意見が出たが、対応方針は変わらなかった。 さらに熊谷氏の電話による支援要請ではなく、既に熊谷氏への支持を決めた立憲民主党県連と同様に、「文書でまず、要請を受けるべきだ」との声もあったが、阿部氏は「努力します」と応じるにとどめた。 阿部氏は会見で「党内は結束できる。いろいろ意見は出るが、最終的にまとまるのが自民党だ」と強調してみせた。
県連支持の方針は県選出の国会議員団会議に報告され、県連総務会などを経て正式に決定される。