エルニーニョ監視速報 「冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭」 寒さ厳しい冬へ
気象庁は今日10日「エルニーニョ監視速報」を発表しました。それによりますと、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあります。今後、「冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭」となりますが、その後は弱まるため、春にかけてラニーニャ現象の定義を満たすまでには至らず、平常の状態が続く可能性が高くなっています(70%)。
11月の実況
エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあります。 11月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は-0.2℃で、基準値に近い値でした。 また、ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の9月の値は-0.3℃で、基準値に近い値となりました。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部にかけて平年より低くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は西部で平年より高い一方、中部から東部では平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年よりやや強くなりましたが、これらには熱帯季節内振動の影響もありました。 このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあることを示しています。
今後の見通し
今後、冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭となりますが、その後は弱まるため、春にかけてラニーニャ現象の定義を満たすまでには至らず、平常の状態が続く可能性が高くなっています(70%)。 実況では、太平洋赤道域の中部から東部で海洋表層の冷水が継続しています。大気海洋結合モデルは、今後、太平洋赤道域の西部から中部で貿易風の強い状態が続くとともに中部から東部の冷水が強まり東進するため、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬の間は基準値より低い値で推移する可能性が大きいものの、大気海洋結合の弱まりとともにこの状態は長くは続かず、春にかけて上昇して基準値に近づくと予測しています。 以上のことから、今後、冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭となりますが、その後は弱まるため、春にかけてラニーニャ現象の定義を満たすまでには至らず、平常の状態が続く可能性が高くなっています(70%)。