仕事で悩み「適応障害」になった産業医。夜は眠れず、体重は10キロ減…自分が患者になって気が付いたこと
◆適応障害になると表れやすい症状 適応障害になると、よく表れやすい症状の一つが不眠です。 夜布団に入ってからも、仕事のことを考えてしまってなかなか寝つけなかったり、眠りが浅くなって夜中に何度も目が覚めて、寝たと思ったら仕事の夢を見てしまったり。そして、十分な睡眠が取れていないために朝起きれず遅刻する、翌日の仕事中に眠くなって気づいたら10分ぐらいボーッとしていた、ミスが増えた、といった問題が出てきます。 あるいは、仕事から帰ってくると倒れ込むように寝て、深夜の2時、3時にパッと目が覚めて、慌ててシャワーを浴びる……というような生活になり、どんどん生活リズムが崩れていく人もいます。 また、適応障害は、ストレスのもととなるものから離れると体調が改善するので、軽症の場合は、土日には気持ちが上向きます。 ところが、適応障害が深刻になると、週末にも月曜日から始まる仕事のことをずっと考えてしまい、出かける気にもなれず、家でずっとゴロゴロと過ごすようになっていくのです。日曜の夜は心配のあまり眠れず、そのまま朝を迎えて、重い体を引きずるようになんとか仕事に行く……という人も。
◆休んだほうがいいタイミング そのほか、適応障害ではストレスのもとから逃避する行動も出やすいです。 例えば、職場が原因の場合、出社しようと電車に乗るだけでドキドキする、さらに進むと、会社の入り口に立つと心臓がバクバクしてどうしても一歩踏み出せなくなることもあります。ストレス源にさらされると調子が悪くなるために、それを避けようという行動が出るのです。 食欲が減って体重も減っている、夜眠れなくて仕事に支障が出始めている、以前は楽しかったことを楽しめず休日に出かけなくなった、休日にも仕事のことを考えて憂鬱になる、出社ができない――。 ストレスのありかが思い当たり、こうした症状が出ているときには適応障害が強く疑われるので、もう休んだほうがいいタイミングです。少なくとも専門家に相談するタイミングだということは覚えておいてください。 ※本稿は、『産業医が教える 会社の休み方』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
薮野淳也