来年夫が定年を迎えますが、専業主婦だったためもらえる年金は夫婦で「月15万円」しかありません。パートを始めないと老後の生活は厳しいでしょうか?
専業主婦(主夫)は主に国民年金が中心となり、配偶者の雇用形態によって夫婦でもらえる年金額に差が生まれます。配偶者が会社員として働いていた年数などによっては、年金額が10万円ほどで、夫婦合わせて15万円程度のケースもあるでしょう。中には、配偶者の定年後にパートを始めないと老後の生活は厳しくなるのではと考える方もいるかもしれません。 そこで今回は、老後の平均的な生活費から、夫婦で年金15万円だといくら不足するかについて調べてみました。年金生活の不足分を補う方法もご紹介しますので参考にしてください。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
夫婦で年金15万円ほど……老後の生活は厳しい?
今回の事例のように、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、妻は国民年金の第3号被保険者となり、個別に保険料を納める必要はなくなります。しかし会社員として働いていて厚生年金に加入している方と比較すると、将来もらえる年金額は少なくなります。 厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の月額は女性が平均5万4426円です。毎月欠かさず保険料を支払った場合は満額を受給でき、日本年金機構によれば、令和6年4月分からの年金額は6万8000円となっています。 仮に夫婦で年金が15万円ほどの場合、老後の生活は厳しくなるのでしょうか。総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均消費支出は月25万959円です。これはあくまでも平均的な消費支出ですが、これを基に計算すると、毎月約10万円の不足が生じることが分かります。
年金生活の不足分を補う方法
年金生活で毎月10万円ほどの不足が生じると、1年で約120万円、この先25年生きるとすれば約3000万円の不足分を何らかの方法で補わなければなりません。不足分を補うだけの十分な貯蓄がなければ、以下のような方法を検討してもよいでしょう。 ■夫が再雇用で働き続ける 会社によっては、高年齢者雇用安定法に基づいて、本人が希望すれば定年後も引き続き雇用する再雇用制度を導入している場合があります。ただし、再雇用の場合は定年前と比較して年収は下がる傾向にあります。 ハローワークインターネットサービスによれば、「雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合」には、「高年齢雇用継続基本給付金」や「高年齢再就職給付金」が支給される場合があるため、確認しておくとよいでしょう。 定年後も再雇用で働くと、条件にもよりますが、70歳まで加入できる厚生年金にも加入することになります。老後生活の不足分を再雇用によって補うだけでなく、将来の年金受給額も増やすことになるでしょう。 ■不足分をパートで補う 再雇用以外の選択肢としては、パートで年金生活の不足分を補う方法もあります。月に10万円ほどの不足分を補うには、例えば東京都の最低賃金である時給1163円を目安に考えると、毎月86時間、4週に分けると毎週21.5時間働く必要があります。 7時間労働を週3日、または4時間程度の短時間労働を週5日するなど、不足分を確実に補えるように計算するとよいでしょう。妻が1人で10万円を稼ぐことが難しい場合は、夫も短時間のパートを検討してもよいかもしれません。