毛をなびかせ駆け寄る愛犬…急逝後に制作 約60時間の作業中「不思議と涙が出なかった」
飼い主に向かって、元気よく楽しく駆け寄ってくる――。毛の流れや表情から生き生きとした雰囲気が伝わってくる、羊毛フェルトでつくられた作品。手がけたのは6月に愛犬・大治郎を亡くした飼い主でした。(withnews編集部・金澤ひかり) 【画像】羊毛作品の〝大治郎〟はこちら 「本物に見える」「愛情感じる」
元気に散歩…から一転、15歳で急逝
羊毛を針で刺し固めて作る「羊毛作品」で、急逝した愛犬の姿を再現したのは、大源マムさんです。 大源さんによると、15歳だった愛犬・大治郎(だいじろう)は6月22日の早朝、元気に散歩をした後、深夜に急に立てなくなったといいます。 急いで救急病院に連れていくと、心臓に腫瘍があることが判明。手術を含め治療を施したものの、6日に亡くなりました。 「大治郎との急なお別れは想像を絶するショックなものだった」と大源さん。楽しかった日々よりも、大治郎が倒れてからの6日間のことばかりが思い出され「泣くこと以外なにもできない日々」が続いたのだそう。 しかし、「大治郎もこんな状態を望んでいない」と思った大源さんは「私が大好きだった大治郎の姿をかたちに残そう」と作品の制作を始めたのです。
「私よりよっぽど人間ができてた」
大治郎の名前の由来は、池波正太郎さんの「剣客商売」の登場人物、秋山大治郎から。 大源さんの夫が実家で飼っていた犬が、同じく池波正太郎作品の「鬼平犯科帳」から由来した「銕三郎(てつさぶろう)」くんだったことから、その流れを受け継ぎました。 大源さんは、大治郎の性格を「とにかく温厚」と言います。 「犬生」で一度も怒ったことがなかったそうで、「ニコニコしてフレンドリー。穏やかで私よりよっぽど〝人間ができて〟いました」。 毎年、ドッグトレーニングをゲーム形式にした競技会に出場していたという大治郎。目立つのが大好きで「とにかく表に出たがっていた」といいます。「勝っても負けてもドヤ顔。チーム戦だったので、メンバーの皆さんとお泊りしたりバーベキューしたり……。大治郎のおかげで人生で初めて経験することばかりでしたしどれもこれも全て楽しく大切な思い出です」と、大源さんは懐かしみます。