【インタビュー】結果の前に“人間性”。アルコ神戸・若林エリが体現する「子どもたちの憧れ」になる選手の姿|女子Fリーグ
お母様は“サポーター”のような存在
──引退セレモニーの際には、チームメイトの皆さんが泣いていました。 後ろに目がついていないのでちゃんと見られていないのですが、泣いているだろうなとは思っていました(笑)。人が泣いているのを見たら泣いちゃう子も多いし、とにかくうちのチームは泣き虫が多いんですよ(笑)。だから我慢できていないだろうなとは思っていましたが、そうやってチームメイトに泣いてもらえるような選手になれたことは、自分にとっては財産だと思います。 ──今日の試合はお母様と一緒に入場されていました。若林選手にとってお母様はどんな存在ですか? うちは幼い時から片親なので、母親であり父親でもありました。ずっと見守って応援してくれていて、本当にサポーターのような存在です。 学生の時は毎日お弁当を作ってくれましたし、中学で女子のサッカーを続ける環境が少ないなか練習する環境を与えてくれました。でも競技のことで文句を言われたことも注意されたことも、指示されたこともありません。ただ自分が決めたことに対して全力で応援してくれました。そういった環境でのびのび自由にプレーさせてもらえたから、今の自分があると思います。自分から見た母親は尊敬できる人ですし、こうして最後のホーム戦で一緒に入場したり、セレモニーができたことで、少しは親孝行できたかなと思います。 ──チームメイトのみなさんとも仲が良さそうでしたね。 自分のチームメイトとも仲良くできることは能力だと思います(笑)。昨日もお母さんと(伊藤)沙世と(高橋)京花と一緒に4人でご飯にいきました。今日のセレモニーでもそうですが、みんなの輪に自然と入れるのは本当にすごいと思います。
普段の立ち居振る舞いで「憧れ」の選手に
──若林選手にとって神戸はどんな場所ですか? 高卒1年目は宝塚バニーズというサッカーチームに所属していました。サッカーを引退した後、代表の小村(美聡)に誘われてアルコに入った時に「縁があるな」と思いましたし、お母さんからも「あなたにとっていいところなんじゃないの」とは常に言われています。出身とは違う土地に縁があることはなかなかないと思いますし、住みやすくて人が温かい、故郷の一つだと思っています。 ──今後フットサルを広めるために、なにが必要だと思いますか? 自分は今、日本フットサル連盟の理事もしているので、いろんなものを背負っている責任があります。今日のアルコのホーム戦でも伝わると思いますが、子どもたちのパワーはめちゃめちゃ大きいです。だからまずはフットサルを認知してもらうこともそうですし、子どもたちにとって憧れの選手が出てくることが大事だと思います。 そのためには普段の立ち振る舞いや人間性が一番大切だということを、アルコの選手にはひたすら伝えています。まずは“人として”という部分が必要ですし、その上で結果やいいプレーが求められると私は考えています。 あとはフットサルを地道に普及していく活動を、自分事として選手一人ひとりがやっていくこと。自分たちがフットサルの価値を上げるという意識があるかないかで、認知度は変わってくると思います。意識を変えることで立ち振る舞いも変わってくると思いますし、そういったところから、今のフットサル界にいる選手、スタッフ、サポーター、みんなで取り組んでいけたらと思います。