飛来した大型ドローンが、停泊中のロシア艦船に突っ込み大爆発…ウクライナがカスピ海の拠点を攻撃
<ロシア領土の内陸部を攻撃するために、欧米が供与した長距離兵器を使用することは容認されていないウクライナだが、このたびカスピ海での攻撃が目撃された>
ウクライナ軍は、自国の領土から1000キロ以上離れたカスピ海で、ロシア艦船を攻撃した。ウクライナとロシアの両国の当局者が明らかにした。攻撃の様子は複数の動画に収められていたが、そこには大型のドローン1機が港に泊まった艦船に向けて突っ込み、大きな爆発が起きる瞬間が映し出されている。 【動画】飛来した大型ドローンが、停泊中のロシア艦船に突っ込み大爆発...ウクライナがカスピ海の拠点を攻撃 ウクライナ国家安全保障防衛会議の幹部アンドリー・コバレンコは11月6日、「ロシアのカスピースクで港が攻撃された」と、メッセージアプリのテレグラムに投稿した。カスピ海に面するカスピースクは、ロシア南西部のダゲスタン共和国の都市だ。 ダゲスタンのセルゲイ・メリコフ首長は同日、ロシアの防空システムが「カスピースク上空で無人航空機を破壊した」と述べ、当局が調査していると説明した。しかしロシア国防省は、ダゲスタン上空をウクライナの無人機が飛行したとの発表はしていない。 ウクライナの複数のメディアは、ダゲスタン号とタタルスタン号の少なくとも2隻のミサイル艦が損害を受けたと報じた。他の艦船も攻撃を受けた可能性があるが、まだ確認されていないという。カスピースクの港はウクライナ国境から約1600キロ弱に位置し、2021年にはカスピ海艦隊少なくとも50隻が停泊できるように拡張される予定だった。 ロシアのテレグラムチャンネルとオープンソース・インテリジェンス組織は、カスピースクに対するウクライナの攻撃だとする映像を公開。映像では、ドローン少なくとも1機が港湾施設と船舶に向かい、爆発したように見える。本誌は、この映像を独自に検証することができていない。 ■欧米の長距離兵器の使用は認められていないが ウクライナ軍は、ロシア領内やロシアが支配するウクライナ国内の地域で、ロシアの重要な軍事資産を標的にする作戦を執拗に続けている。通常は長距離用の自爆ドローンを使い、空軍基地や海軍基地を狙う。 しかし、ウクライナが国際的に承認されたロシア領土の内陸部を攻撃するために、欧米が供与した長距離兵器を使用することは容認されていない。これまでの攻撃は通常、クリミア半島の港湾都市セバストポリに一部拠点を置くロシアの黒海艦隊に焦点を当ててきた。 米シンクタンクのカスピ海政策センターは、カスピ海とアゾフ海、そして黒海を結ぶボルガ・ドン運河を「軍事装備の移動のための重要な拠点」と評している。 「ロシアは特に冬以外の季節に、カスピ海と黒海の間で戦艦や軍事物資を輸送するためにこのルートを利用している」と、同センターは今年前半に指摘した。 ウクライナは大規模な海軍や大型の戦艦を保有していない。しかし、英国の情報機関によれば、ウクライナの攻撃によってロシアは、自国艦隊がより脅威にさらされやすい黒海西部での活動を抑制せざるを得なくなっている。ウクライナは、さらに東方のノボロシースクにある黒海艦隊の基地も標的にしている。 ウクライナ国防省情報総局(GUR)は10月、自国の領土から約600キロ離れたロシアのカリーニングラード州バルチースクで、ロシアのバルチック艦隊に所属する掃海艇を「無力化した」と発表した。
エリー・クック