YouTube、AIトレーニングでのコンテンツ無断使用に関する問題に対応
コンテンツクリエーターやアーティスト、それにパブリッシャーが、コンテンツを人工知能(AI)モデルのトレーニングに使用しているハイテク企業への批判を強める中、少しずつではあるが、企業もその批判に耳を傾け始めている。 YouTubeは米国時間12月16日、クリエーターや著作権保持者に対し、「サードパーティー企業が彼らのコンテンツをAIモデルのトレーニングに使用(できるように)する」かどうかを、「『YouTube Studio』の『設定』画面の『第三者の企業によるトレーニング』から直接」選択可能にすると発表した。これまでYouTubeクリエーターらからは、さまざまな大手テクノロジー企業が、同意や報酬なしに自分たちのコンテンツをAIモデルのトレーニングに使っていることに対して批判が寄せられていた。 生成AI企業は、モデルをトレーニングするために、ウェブをスクレイピングしたり、その他のデータソースを(許諾されたものも許諾されていないものも含めて)利用したりしている。OpenAIやGoogleは、クリエーターに明示的な許可を得ることなく、YouTubeの字幕を使ってAI文字起こしツール(OpenAIの「Whisper」など)をトレーニングしていた。 アーティストやデザイナー、それにパブリッシャーは以前から、作品の著作権や対価の支払いに関する懸念を表明しており、その結果多数の訴訟が起こされてきた。このような法的課題に対処するため、Adobe、Canva、Stability AIといった企業は、アーティストに追加の使用料を支払うなど、彼らがトレーニングへの作品の使用を許可したくなるような仕組み作りに乗り出している。 9月にはYouTubeも、クリエーター、俳優、ミュージシャン、アスリートなどが自分の顔や声をコピーされて他の動画に使われるのを防ぐ新しいAI検出ツールをリリースするなど、この問題に対処する方法を模索し始めていた。 YouTubeは、このツールを発表したブログ記事で次のように述べている。「私たちは、YouTubeのコンテンツをスクレイピングするような第三者に関して、不正な方法でクリエーターのコンテンツにアクセスすることは利用規約に違反するものであり、YouTubeがクリエーターの作品に対して提供している価値を損なうものであることを明確にしてきました」 YouTubeは、今回の新しい設定がこの新機能のリリース前から行われていたAIトレーニングにも適用されるかどうか明らかにしていない。TechCrunchによれば、Googleは「クリエーターとの既存の合意に従って、一部のYouTubeコンテンツで自社のAIモデルのトレーニングを今後も継続する」と述べている。 今後数日以内に、世界中のクリエーターが、デスクトップ版およびモバイル版のYouTube Studioで、この新機能に関するバナー通知を受け取ることになるはずだ。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。