40代は孤独を感じやすい?推し活が救いの手に? 日本人産業医が指南する、メンタルを整えるための3つのアドバイス
人生100年時代、心の健康をキープしながらヘルシーに働くためにはどうしたらいい? 日頃から心に留めておくべき考え方のヒントや、生活に組み込みやすいティップスを、産業医の大室正志先生が伝授する。 【写真】SNS断ちやスマホアプリの整理も有効!精神科医がすすめる「脳が疲れにくくなる」10の方法 教えてくれるのは・・・大室正志(MASASHI OMURO):産業医。大室産業医事務所代表。産業医科大学医学部医学科卒。現在は、大手企業、約30社でメンタルヘルス対策など健康リスクの低減に従事。社会医学系専門医・指導医。著書に『産業医が見る過労自殺企業の内側』(集英社新書) あなたにも私にも、ふとした隙に忍び寄る心の病。「あくまで保険診療ベースのデータですが、精神疾患と診断される人は99年を境に増加しています」と産業医の大室正志先生。 なぜ99年なのか。「"鬱は心の風邪です"という製薬会社の広告キャンペーンで潜在的な需要が掘り起こされたこと。またWindows95の普及でPC中心の労働形態が定着し、PCの前に座る時間が増えたことも影響していると思います。長時間労働による睡眠不足が続くと、脳の判断能力が低下し、鬱病の発症リスクが増加します」。
あなたは大丈夫? メンタルヘルスをチェックする4つの項目
1.睡眠に問題がある 寝つきが悪い、途中で起きる、眠りが浅い、熟睡感がないなどの睡眠トラブルは、メンタルが不安定になっているサイン。 2.“べき”思考が強い性格 “こうあるべき”という思いに支配されて無理をしている。人や会社にも“べき”を求め、イライラする人は注意を。 3.好きなことすらしたくない 低ストレスな休日に、好きなことすらやりたくない、疲れて何もする気が起きない、となったら危険信号。 4.画面オフが心地いい 人と対峙するのがつらくなり、対面を避けリモートに。画面をオフし顔出しをしない、マスク着用が何日も続くなら危ない。
40代からは、ありたい自分でつながれるコミュニティが心の防衛に
男女比で見ると、メンタルの不調に陥りやすいのは、ホルモンの変動で気分がアップダウンする女性。でも自殺率は2:1の比率で男性のほうが多いという。 「弱音を吐きにくい男性は多く、メンタルに問題があることを認めない傾向があります。カウンセリングでも、体のことは話すのに心の問題に触れない人が多い」。追い詰められるまで助けを求められない男性と、小さな悩みも誰かに打ち明けて発散する女性。そこに関わるのがコミュニケーションだ。男性は利害関係のない相手とつながりにくいが、女性は横の連帯が得意。 「ただ女性の場合、ライフステージが変わると友人関係が入れ替わったり終わったりするケースも多く、属性のハッシュタグが崩れると持続しにくいという問題も。学校、職場、ママ友とグループに属している間はいいけれど、40代以降は交流する相手がいなくなってしまう可能性もあります」。 人生後半戦を充実させるためには、自分がありたい姿でつながれるコミュニティの存在が重要になるという。「趣味や推し活など同じ方向を向いている人とゆるやかに連帯するのは、心の防衛として有効。40代はコミュニティのポートフォリオを新たに構築するタイミングでしょう」