人気映画の名車も!米国クルマ文化を映し出すミニカー「ホットウィール」の世界
「日本だと、改造車ってイメージがよくないじゃないですか。でもそこは、日本とアメリカのカルチャーの違いだと思うんですよ。 アメリカっていうのは、父親がガレージで“クルマいじり”をして、週末になったら子供を連れてレース場に行ってガンガン走らせる。そういった習慣がひとつのスタイルとして確立されているんです」(TWIN-MILLさん、以下同)。
「一方で日本は、どちらかというと家族みんなで旅行やキャンプに行くっていうのが一般的。クルマで公道をブーンとドライブするっていうイメージがありますよね。そういった文化の違いは、ミニカーのディテールにもあらわれています。 例えば、日本のミニカーは、ドアが開くように作られている。対して、ホットウィールはエンジンのつくりを大事にしていて、フロント部分が開くものが多いんです」。
凝ったディテールと尽きない遊び心
ホットウィールは、ディテールへのこだわりがマニアックで細かい。
ここで、TWIN-MILLさんが所有する面白いモデルを紹介しよう。
トラックの荷台に犬が乗っているもの、ワンボックスカーの後部ドアからハーレーが出てくるもの……さらに、取り外しできるサーフボードを積んだもの、日本のデコトラなどなど、挙げ出したらキリがない。
「実際に使えるゴルフティーを乗せたゴルフカートなんてのもあります。そこにボールを乗せて打ってみた系の動画とか、けっこう出ていて面白いと思いますよ」。 こうしたバラエティに富んだミニカーがいくつも登場する背景には、いい意味で“クルマ馬鹿”なデザイナーたちの影響が大きいという。
「ミスター・ホットウィールと呼ばれているラリー・ウッドさんを筆頭に、フィル・リールマンさん、マーク・ジョーンズさん、リュー・アサダさん(故人)など、今も昔も個性の強いデザイナーさんが数多く在籍しているのも特徴だと思います」。
中でも、日本人デザイナーのリュー・アサダさんにまつわるエピソードが面白いので紹介しておこう。 彼はもともと、クルマのデザイナーを目指して米国アートセンターに通っていたところをマテルにスカウトされ、ホットウィールのデザイナーになった。同社在籍中にデザインした量は半端じゃなくて、“第2のラリー・ウッド”と呼ばれるほどだったそう。