コンサルタントとコーチ
コンサルティングとコーチングの違い
両者の違いについては、まともに書くとそれだけで一冊の本が書けそうですが、シンプルには、以下のように整理することができます。 組織のありたい姿・目指すゴールに向けて組織を変革する上では、「戦略・仕組み」が必要です。しかし、どんなにいい戦略や仕組みがあっても、それを動かすのは「人」です。そう考えると、「仕組み・戦略」と「人・関係性」は、組織を変革する両輪と考えられます。 さらに、コンサルティングとコーチングを、目的やアプローチなどの切り口で対比して示したのが以下の図です。
大きくは、「コト」を扱うのか「ヒト」を扱うのかの違いとも言えるかもしれません。 組織変革において「戦略・仕組み」には多くの投資がされます、一方で、「人・関係性」は同じぐらい重要なはずなのに、どこか見過ごされがちではないでしょうか。 私には、前職時代に組織変革における両輪の大切さを強く感じた苦い経験があります。 あるプロジェクトで、基幹システムの刷新から情報系システム、それから業務の変革を行うトランスフォーメーション・プロジェクトの責任者をしていました。 3ヵ月で戦略を立て、先方のCEOにも承認いただいて実行フェーズに入りましたが、理屈上ではうまくいくはずだったものが大失敗しました。現場から「なぜ変えなくてはならないのか」という大きな抵抗に遭ったのです。 それをきっかけに、クライアント側のプロジェクト推進チームも自信を失ってしまい、我々との信頼関係も崩れていきました。その結果として、当初の計画の倍の時間がかかってしまったのです。
コンサルタントとコーチのコラボレーションの可能性
ジェームズ・オトゥールという教授が提唱した「変革を拒む33の憶見(おっけん)」によると、人が変化に抵抗する理由は33個あると言われます(※6)。 自分は間違っていないというエゴやプライド 価値観の違いによる対立 変化に対する不安や恐れ 誰かがやってくれるだろうという当事者意識の欠如 など こうした人の主観に絡む、正解のない厄介な問題は、組織変革を阻害しスピードを落とします。 その点で、コーチングには大きな可能性があると考えています。人の主観を排除したり、抑えつけたりするのではなく、その力も活用しながら、コラボレーション、共創の可能性を探る。コーチングには「ヒト」の意識や行動に変革を起こす力があります。 実際に「コーチ・エィさんには、変革に向けたエネルギー・火を起こし続けることを支援してほしい。戦略や仕組みは自分たちや他でやるから」と、うまくコンサルタントとコーチを使い分けられているお客様もいらっしゃいます。 コーチ・エィに入社以来、私がずっとやりたいと思っていることがあります。それはコンサルタントとコーチのコラボレーションです。今年は、小さいながらもそうした事例をつくることができました。 コンサルティングが広く世の中に受け入れられるようになったように、組織変革にコーチングが活用されることが当たり前になり、コンサルタントとコーチがコラボレーションする。そして、日本企業の変革を今よりもっともっと促進させ、グローバルにおけるプレゼンスを高めることに寄与していく。 そんな未来を思い描くと心からワクワクします。コンサルタントとコーチの両方を経験している自分だからこそ、その未来につながるように多くの仲間やお客様と、ともに取り組んでいきたいと思います。