【ラグビー】もっと「忙しく」なりたい。アイザック・ルーカスの意欲。
きれと優雅さとの合わせ技で局面を変える。 25歳のアイザック・ルーカスは、走りが魅力のラグビーマンだ。相手防御にビッグゲインを警戒してもらうことで、周りの空いたスペースへパス、キックを通せる。 司令塔のSOや最後尾のFBとして、閃きをスコアに繋げる。 昨季から食事を見直し、体脂肪を減らすのを意識する。たくさん動いてボールをもらうという自分らしさを、より光らせるためだ。 「いい感触です。体重は少し軽くなる分インパクトは減るのかもしれません。でも考えてみれば、僕の役割は試合中に忙しくしていることです。色々なプレーに関与し、それができるだけのフィットネスがあることが大事です。スキンホールド(皮下脂肪)を落としてプレーするのは楽しかったので、今年もそれを継続します」 身長180センチ、体重85キロの25歳。母国のオーストラリアで年代別代表に名を連ね、2020年に来日してからリコーブラックラムズ東京へ在籍する。 国内リーグワンでベストフィフティーンに輝くこと通算2回。最初にクラブと2年契約を結んだ頃といまとでは、日本への思いが異なる。 「最初はどれくらいここにいるかを決めずに来ていました。ただ、ここではいいラグビーができるし、ここでの生活も気に入ったし、チームが僕のことを大切に扱ってくれました。もっといい選手になれるパスウェイも見えた。いまは、このブラックラムズをトップサイドのチームにしたい。それが恩返しです」 グラウンド外では、チームメイトに誘われるままたくさんの観光地に触れた。海と神社が並ぶ鎌倉、雪の美しい白馬、渋谷のスクランブル交差点…。なかでもお気に入りは、奄美大島や石垣島の楽しい景色だという。 本人が日本になじむほどファンに期待されるのは、将来の日本代表入りだ。 その国のルーツを持たない海外出身者が代表入りの資格を得るには、5年以上の「連続居住」が求められていた。 いまは「連続居住」の項目が「当該国でプレーした期間」に変わったが、ルーカスはその緩和を待たずして来年には条件をクリア。そのため今年12月21日からのリーグワンでは、「カテゴリーA」に区分される。外国人枠と無関係に公式戦出場を狙える。 ただ、当の本人はこうだ。 「カテゴリーAになれることは嬉しいですが、そうなったからといってマインドセットは変わらない。自分ができるベストな方法でチームを助けるのみです」 ‘27年に母国でワールドカップが開かれる中でも、落ち着いて言葉を選ぶ。 「国際舞台でプレーするのは僕の目標です。(代表待望論があることは)嬉しいし、特別なことだと感じます。ただ、気取っていると思われたくはありませんが、いまはブラックラムズにとってのビッグシーズンが待っている。ただチームの勝ちにこだわっていきたいです」 前年度12チーム中10位だったブラックラムズは、21日、三重交通G スポーツの杜 鈴鹿で同11位の三重ホンダヒートとぶつかる。 タンバイ・マットソン新ヘッドコーチのもとでは、ルーカスはおもにFBで起用されそうだ。 今後の課題を「キッキングゲーム」だとし、キックとフィールディングを磨く。今年10月に来日したニュージーランド代表が自軍のグラウンドに練習しに訪れた際は、自身と似た役回りのダミアン・マッケンジーらに熱視線を送った。 「彼らはワークレートが高い。右にいたかと思えば左と、常に動き回っている印象です」 いつでも「ベストなラグビー」ができるよう、進歩し続ける。