「NHK受信料」は高い?安い? 他国の公共放送やネット放送の現状と比較してみた
韓国では、公共放送KBSの受信料を電気料金と一緒に徴収する方式を採用していましたが、2023年7月に分離徴収への移行を決定。月額2,500ウォン(約275円)の受信料は1981年以降据え置かれており、KBSは値上げを要求していましたが、国民側は反発。分離徴収の決定により値上げ議論は立ち消えとなりました。「電気料金とのセットでの徴収」という慣習が見直されたばかり、というのが2024年現在の状況です。
現行より大きく安い受信料を「全世帯負担」するのは一つの案?
かつてドイツの国営放送で「PC受信料」が取り入れられたものの、最終的に受信機の形を問わない形の徴収にシフトしたように、諸外国でも国営放送の「PC受信料」「スマホ受信料」といった取り組みには抵抗感が大きいと見られます。 とはいえ「税金」や「電気料金」の形で受信機の有無を問わずに徴収する方法にも一定の抵抗感はあると見られ、韓国では電気料金とセットでの徴収の見直しが進行中。フランスでは2022年に税を廃止済みで、2024年現在は「新たな財源を模索中」です。 こうした海外事例を受けて国内に目を向けると、NHKのネット配信業務の必須化に伴う「テレビを持たないスマホユーザーからの徴収」はかなりの反発があるものと予測されます。そして、スマホユーザーが「自主的にNHKのIDを取得して受信料支払いに同意する」ことも、そのユーザーが意図的にテレビを所有していないならば難しいでしょう。 NHK受信料の制度は仮にネット配信が始まったとしても「現行維持」か、徴収対象を広げるならば「現行より大きく安い受信料を、受信機を問わず全世帯で負担する」といった形が一つの落としどころになりえるかもしれません。 ■ちなみに国営放送のネット配信業務の必須化は海外では普通? 公共放送のネット配信業務の必須化は、海外ではすでに一般的となっています。イギリスは2007年、フランスは2009年、ドイツにいたっては2000年にネット配信を必須業務化。これらの国々では、ネット配信の利用者も多く、2021年度の平均ではイギリスが人口の約20%、フランスが約36%、ドイツが21%となっています。一方、日本のNHKのネット配信利用率は一桁台にとどまっており、受信料を徴収する割にはまだまだネット放送が活用しきれていないという指摘もあります。 ■NHKの受信料の支払いを正式に免除するには? スマホユーザーに対する徴収や「全世帯一律の徴収」などが正式に決まらない限りは、NHK受信料の支払いを避けたい方もいるでしょう。正式な免除手続きの流れは以下の通りです。
まずNHKの受信料の支払いを正式に免除するには、一定の条件を満たす必要があります。全額免除の対象となるのは、生活保護受給世帯や社会福祉施設入所者などです。また、視覚・聴覚障害者がいる世帯や重度の障害者がいる世帯は半額免除の対象となります。 免除申請は、NHKのウェブサイトや電話で受け付けており、必要書類を提出することで手続きを行うことができます。ただし、免除の適用には一定の審査期間がかかるため、早めの申請が推奨されます。
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