辺野古埋め立て、軟弱地盤改良に着手へ 代執行から1年、続く対立
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、防衛省は27日、計7万本以上の杭を打つ軟弱地盤の改良工事を28日から始めると発表した。国が辺野古北側・大浦湾の埋め立てに必要な設計変更を県に代わり承認する「代執行」に踏み切ってから、28日で1年。今後も難工事が続くことが予想され、政府と沖縄県の対立も続いている。 【写真】今年6月の事故を受け、ネットフェンスが張られた安和桟橋の出入り口=2024年12月24日午後、沖縄県名護市、小野太郎撮影 防衛省は昨年12月28日、地方自治法に基づく初めての代執行により、計画全体の4分の3にあたる大浦湾側110ヘクタールの埋め立てを進める権限を得た。今年8月から、埋め立て予定地北側で比較的地盤のかたい「A護岸」の造成に着手。11月からは、北側と南側の中間にある辺野古崎突端部への土砂投入も開始し、新たに宮城島(うるま市)からの土砂搬出も始めた。 政府は大浦湾側を8年かけて埋め立て、すでに陸地化した南側の区域と合わせて2030年代半ば以降に移設事業を完了させるとしている。 ただ、全体の埋め立てに必要な土砂2020万立方メートルのうち、投入を終えたのは16%(11月末時点)にとどまっている。A護岸の工事では3年10カ月かけて1千本の杭を海底に打つ計画だが、12月中旬の衆院安全保障委員会では、8~11月に打ち込んだ杭は29本にとどまることが明らかになり、このペースでは10年かかると指摘された。一方で23年度までに投じた事業費は5319億円と、すでに総事業費9300億円の6割近くに達している。 28日に着手する軟弱地盤の改良工事では、まず海底に砂を敷き、その後、約7万本の杭を最大70メートルの深さまで打ち込むが、難工事が予想されている。玉城デニー知事は「建設は実現困難」との立場を変えていない。 普天間の返還は、1995年の少女暴行事件を受け、日米両政府が沖縄の基地負担軽減のためとして合意した。来年は合意から29年となるが、全国の米軍専用施設の7割が沖縄に集中する状況は変わっておらず、今年は米兵による性暴力事件も相次ぎ発覚した。(棚橋咲月)
朝日新聞社