「しんどかったが来て良かった」妻子4人亡くし地震後、初めて現地に
最大震度7を観測した能登半島地震は1日、発生から1年を迎えた。妻と子ども3人の一家4人を亡くした大間圭介さん(42)はこの日、石川県珠洲(すず)市仁江(にえ)町の現場を地震後初めて慰霊に訪れ、家族の冥福を祈った。 【写真まとめ】現場で涙を流す大間さん 大間さん一家は1年前、金沢市の自宅から、珠洲市の妻はる香さん(当時38歳)の実家に帰省し、親戚一同の12人でにぎやかな元日を過ごしていた。 地震の揺れで裏山が崩れ、居間にいたはる香さん、長女優香さん(同11歳)、長男泰介(たいすけ)さん(同9歳)、次男湊介(そうすけ)ちゃん(同3歳)が土砂にのみ込まれて犠牲になった。家族のうち、大間さんだけが残された。 大間さんは1日午前10時20分ごろに現地に到着。家があった場所に花を手向け、お菓子やペットボトル入りのジュースも供えた後、しゃがんで目を閉じて手を合わせた。 土砂に埋まった家屋は原形をとどめず、崩れた土砂や倒木が今も大量に残る。周囲を歩き回り、大きく損壊して形をとどめない一家の乗用車を目にして、おえつを漏らした。 大間さんは「当時の様子を思い出すので来ることができなかったが、いつまでも背を向けてはいられない。長かったけど、あっという間だった」と振り返った。 地震後、しばらくはふさぎ込む日々だったが、石川県警の警察官として2024年3月に仕事に復帰。 23年秋に学校行事のマラソン大会を控えた長女と長男に「やればできるよ」と励ましたことを思い出し、24年10月に「金沢マラソン」に出場して完走した。「何か決まっているわけではないが、マラソンのように次の目標に備えて準備したい」と語る。 この日の献花を終え、「亡くなった家族と過ごした1年だった。生き残った私は家族に生かしてもらったと思うので、一日一日を無駄にせず、家族がやりたかったことをしてあげたい。来るのはしんどかったが、家族のことや楽しかったことを思い出し、来て良かった」と語った。【井村陸】